2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
26102010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢貝 史樹 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80344969)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | タンパク質 / アミロイド / 超分子ポリマー / 準安定状態 / 発光材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、リング状の超分子ポリマーを与えるモノマー分子のナフタレン部位を改変することで、新奇なナノ構造を有する新規超分子ポリマーの構築に取り組んだ。新規分子として、ねじれを有するπ電子系分子を有するモノマー分子を合成した。このモノマーは、低極性溶媒中で水素結合性環状6量体を介して超分子ポリマー化し、高温溶液の冷却速度の違いによってヘリカル構造とランダムコイル構造を有する線維状ナノ集合体を作り分けることが可能であることが、原子間力顕微鏡ならびに透過型電子顕微鏡により明らかになった。赤外吸収スペクトルやX線回折測定により、モノマーは水素結合性環状6量体を経由して線維状に超分子ポリマー化することが明らかになった。ヘリカル構造を有する線維状ナノ集合体を蛍光顕微鏡ならびに共焦点レーザー顕微鏡により観察すると、会合による発光強度の増大によって、一本の壁軽構造を可視化可能であることが示唆された。この点に関してはさらに研究の進展が期待出来る。興味深いことに、構造の異なる二つの溶液を室温で放置いておくと、針状の沈殿が形成された。この沈殿は超分子ポリマーがバンドル化することで形成されることが、原子間力顕微鏡観察により明らかになった。タンパク質のように時間の経過によって凝集体へと変化する超分子ポリマーは珍しい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、様々なナノ構造を有する超分子ポリマーを構築することが昨年度の到達目標であったが、予想外に、構築した超分子ポリマーのうちの幾つかが準安定分子集合体であることが明らかになった。この成果をもとに、新たな研究プロジェクトを立ち上げることができた。したがって、予想を上回る成果が得られたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘリカル構造とランダムコイル構造を有する線維状ナノ集合体のバンドル化は、超分子ポリマーの結晶化と捉えることができる。そこで、この構造転移のキネティクスを今年度は詳細に追っていく。キネティクスの追跡には、蛍光分光、紫外可視吸収、さらに動的光散乱などを用いる。また、本系はアミロイド線維の形成に代表されるタンパク質と同様の構造転移を示す画期的な系であると判断できるため、今回得られた結果を学術論文として早急にまとめる。さらに、超解像度顕微鏡を用い、ヘリカル構造を有する線維状ナノ集合体の高精細イメージングにも挑戦する。
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