2014 Fiscal Year Annual Research Report
複合電磁波分光法によるπ造形分子設計と電子機能予測
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
26102011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関 修平 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30273709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 昭紀 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362625)
櫻井 庸明 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50632907)
酒巻 大輔 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 特別研究員(PD) (60722741)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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Keywords | 電荷移動度 / 圧力 / 自由エネルギー / ランダウ / ド・ジャン / 電荷分離 / マイクロ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機分子を構成ユニットとする半導体材料は、軽量性や柔軟性などの利点をもとに、有機トランジスタ、有機太陽電池、有機ELなどの次世代電子デバイス材料として期待されており、これらのデバイス性能を大きく左右する電荷キャリア移動度の向上を目指した研究が積極的に展開されている。 π造形された共役分子の積層構造だけでなく、その骨格構造そのものも変調する対象とし、本研究ではそのための手法として圧力を材料に印可し、分子の構造と電子物性の関係に関して調査を行った。本年度は主として対象を共役高分子に設定し、圧力下(high pressure: HP)での構造変化をX線回折(HP-XRD)法・ラマン分光法(HP-Raman)で評価した。さらに、高圧下・時間分解マイクロ波伝導度法(time-resolved microwave conductivity, HP-TRMC)を用いて、分子内電荷キャリア輸送特性を評価した。HP-TRMC法の開発では、およそ0.2 GPaの圧力印可下での測定に成功し、レーザー励起下、注入された過渡キャリアの運動特性を非接触・非破壊で計測することに成功した。 ポリチオフェン骨格を対象とした実験では、構造変調のための圧力印可エネルギーが、主査の持続長延長を引き起こすランダウ―ドジャン自由エネルギーと良い一致を示し、主鎖内電荷移動度が最大2倍程度まで向上することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HP-TRMC測定法の基礎原理確立と高圧下計測の実証については、本年度ほぼその実験を終え、同時に高圧下ラマン分光法との組み合わせにおいて、非接触・非破壊伝導度測定法としての有効性の確認が行われたため、おおむね研究は順調に進行していると考えられる。一方で、高圧下計測のより広い汎用性を目指して、圧力変調レンジの拡大が強く望まれる検討結果を得ている。特に高圧下ラマン分光法・高圧下XRD測定法がともにダイアモンドアンビルを用いた計測を可能としているため、その圧力レンジが5 GPa程度に達している。このため、平成27年度以降は、HP-TRMC法の計測圧力レンジを大幅に拡大することを目標に研究を進める。 新学術領域研究において、本研究は領域内外の複数の研究者との連携・協働研究による領域内活性化が強く求められている。すでに、複数の共同研究を開始し、研究成果に記載の通り、一定の研究成果を論文・学会発表成果として報告を始めている。高圧下構造解析技術との協奏により、より効果的な連携研究のスキームが出来上がることを踏まえ、本年度、圧力下構造変調と電荷移動度の相関測定手法を展開できたことは特筆に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
上記達成度の項に示したHP-TRMC測定法適用圧力レンジの拡大をめざし、現在すでに新しい静水圧下非接触・非破壊伝導度測定法用のマイクロ波空洞共振器の設計を進めている。ここでは、GPaオーダーの静水圧印可に対して大きな障害となる現状の空洞共振器のサイズを、プローブとするマイクロ波の周波数を変更することも含めて縮小し、高い耐圧力性を有する空洞共振器を新規に試作する予定である。 現在までの研究進捗状況を鑑みると、これ以外に大きな研究遂行における問題点はなく、現状のHP-TRMC測定システムでもすでに十分に柔軟性π造形分子によって形成された材料の構造変調を誘導して、その電荷輸送特性を評価する段階にある。 圧力下X線構造解析技術との連携を深めて、伝導特性と分子構造相関を目指した本研究課題そのものの推進だけでなく、新学術領域内での連携研究により一層の展開を図る予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Pressure Modulation of Backbone Conformation and Intermolecular Distance of Conjugated Polymers Toward Understanding the Dynamism of π-Figuration of their Conjugated System2015
Author(s)
Y. Noguchi, A. Saeki, T. Fujiwara, S. Yamanaka, M. Kumano, T. Sakurai, N. Matsuyama, M. Nakano, N. Hirao, Y. Ohishi, and S. Seki
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Journal Title
J. Phys. Chem. B
Volume: 119
Pages: in press
DOI
Acknowledgement Compliant
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