2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Revealing the history of the universe with underground particle and nuclear research |
Project/Area Number |
26104004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸本 康宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (30374911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梁 炳守 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (10626055)
小川 洋 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (20374910)
小林 兼好 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (70466861)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 季節変動 / XMASS / 極低バックグラウンド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,現在XMASS検出器を用いた暗黒物質の探索と,将来の大型暗黒物質探索装置のR&Dを目的に研究を進めている. 今年度,次の2つの論文がXMASSで最も注目される研究である.即ち,暗黒物質事象の季節変動解析の結果とキセノン124の二重電子捕獲事象探索の結果である.前者は,これまで「発見」が主張されていた事象(季節変動事象)を,大統計量で直接的に検証し,これを否定した.後者は,これまでの成果を2倍以上上回る寿命を設定した,世界最高感度の成果であった.また,超新星爆発が我々の銀河近傍で生じた際に,XMASSで検出されるニュートリノ事象に関する論文も公表した.XMASSで検出するニュートリノ事象は,中性カレントによるコヒーレント散乱であり,この散乱事象自身が未発見である事,そして事象数によって超新星の爆発機構に関する洞察が得られることを示した.更に,キセノンシンチレーションの発光時間特性に関する論文も受理された.この論文は,一見地味であるが,発光特性から,反応粒子の識別可能性が暗示されることから,今後の展開を注目している. また,解析の結果,XMASSのキセノン中に,極微量の放射性不純物成分を同定・定量した.これを純化するために,キセノンの蒸留操作を行い,不純物の削減に成功した. 次期の暗黒物質装置の開発では,引き続き光電子増倍管の極低バックグラウンド化と性能評価を行った.経時変化が疑われる光電子増倍管がみられた.これが一般的特徴なのか,それだけに生じたことなのか,今後注意深く研究を進める必要がある. また,今年度からは,次世代検出器として,気液2層式の検出器の検討を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,現在のXMASSを用いた暗黒物質探索と将来の暗黒物質探索装置の開発・研究を2本の柱に研究を行っている. これまでに,XMASSを用いた季節変動解析によって,「発見」が主張されていた暗黒物質のパラメータ領域のほとんどを追試し,そのような信号がないことを確認し,論文として出版した.「発見」の主張の根拠は季節変動にあったが,本研究は,世界で初めて彼らと同程度の統計量で季節変動を否定したもので,その点,高い価値を持った成果である.更に,現在は統計量を増して,解析を進めおり,全パラメータ領域での追試の結果を近々公表する予定である.このパラメータ領域の追試は,当初の研究計画の目標に掲げていたものであり,研究は非常に順調に推移している. また,次世代検出器の開発においても,これまで不可能であった,銅中の放射性鉛の極々微量測定が可能となる等,次世代検出器の要求を1つ1つクリアしている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,現在のXMASS実験装置を用いた暗黒物質探索と将来の大型暗黒物質探索装置の開発・研究を2本の柱に研究を行っている. 前者では,エネルギー閾値の低減に成功し,安定してデータ取得を続けてきた.今年度もこれを続行し,「発見」が主張されるパラメータの全領域の追試を完了する. また,暗黒物質はWIMPsと呼ばれる素粒子が最有力であるが,この他にも,多くの可能性がある.これらは候補にはそれぞれ特徴があり,その特徴にあった解析を進め,暗黒物質の存在について研究を進める.特に,キセノン蒸留によって,放射性元素の削減が成功したので,高いエネルギー領域で感度が向上したので,この領域の暗黒物質の研究を進める.更に,暗黒物質以外の幅広い物理学に対しても研究対象を広げる,例えば,二重電子捕獲事象では世界最高感度の成果を発表する予定である. 後者については,検出器の高感度化と低バックグラウンド化を継続する.特に,本研究によって,銅中の極微量鉛の定量に成功したので,その有効利用を図りたい.また,新開発の凸型3インチ光電子増倍管は,低温特性,電気的特性などについて全数検査を行う予定である.同時に長期安定性の試験を開始する.これらによって,新型光電子増倍管の真の実力を測り,それを利用した検出器デザインを,モンテカルロシミュレーションで設計・検討する.特に,バックグラウンドの排除能力に優れた2層式の検出器の検討に着手する. また,ゲルマニウム半導体検出器のさらなる低バックグラウンド化を計画している.
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Research Products
(46 results)
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[Presentation] Dark Matter Search with XMASS2016
Author(s)
Kazuyashi Kobayashi
Organizer
Warsaw Workshop on Non-Standard Dark Matter:multicomponent scenarios and beyond,
Place of Presentation
Warshow, Poland
Year and Date
2016-06-02 – 2016-06-05
Int'l Joint Research / Invited
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