2017 Fiscal Year Annual Research Report
低バックグラウンド技術を応用した方向感度をもつ暗黒物質探索の基礎研究
Project Area | Revealing the history of the universe with underground particle and nuclear research |
Project/Area Number |
26104005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80362440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 竜大 名古屋大学, 現象解析研究センター, 特任助教 (00608888)
田中 雅士 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (30545497)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 地下実験 / 低放射能技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、方向に感度を持つ暗黒物質研究の為の低バックグラウンド(BG)化による基礎研究を総合的に行う。ガスを用いた高精度な手法(SD探索、SI探索)、相補的である原子核乾板を使用した大質量検出器の開発を合わせて研究を進めることで国内技術を結集、当該分野で世界をリードしてゆく。 ①(SD探索)ガスを用いた方向に感度をもつ暗黒物質探索実験は、スピンに依存した探索(SD探索)においてガス検出器μPICを用いた研究が進んでいる。平成29年度は低バックグラウンド材料を用いたμPICの実機の性能評価及び地下実験の開始という計画を立て、実際に30㎝角μPIC実機の性能評価を行い、2017年11月より地下実験室の装置に組み込んで暗黒物質測定を開始した。 ②(SI探索)ガスを用いた方向に感度をもつ暗黒物質探索実験において、スピンに依存しない探索(SI探索)は、性質のよいガスがないため、SD探索と比較して遅れている。平成29年度はこれまでに行った地下実験のデータを用いたSI解析を行った。 ③(大質量探索)原子核乾板を用いた暗黒物質探索実験は、質量を稼げるという長所がある。平成28年度から平成29年度にかけてグランサッソ研究所での地下バックグラウンドの観測を行った。 平成29年度はその解析を進めるとともに、解析の高度化のために、ナポリ大にて超解像解析システムの開発と環境構築を行い、本格的な実装を行った。また将来の大型化に向けて、kgスケール解析を目指した高速解析システムの開発も開始した。 ④これまでの本計画研究主催の若手研究会を通じて、地下環境での中性子バックグラウンド測定が領域全体に資する重要な測定となることが分かった。平成28年度より田中を中心として神岡地下実験施設での中性子バックグラウンドの測定を開始、平成29年度には結果を論文化して投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①(SD探索)ガスを用いた方向に感度をもつ暗黒物質探索実験は、スピンに依存した探索(SD探索)においてガス検出器μPICを用いた研究が進んでいる。平成29年度は低バックグラウンド材料を用いたμPICの実機の性能評価及び地下実験の開始という計画を立て、実際に30㎝角μPIC実機の性能評価を行い、2017年11月より地下実験室の装置に組み込んで暗黒物質測定を開始した。 ②(SI探索)ガスを用いた方向に感度をもつ暗黒物質探索実験において、スピンに依存しない探索(SI探索)は、性質のよいガスがないため、SD探索と比較して遅れている。平成29年度はこれまでに行った地下実験のデータを用いたSI解析を行った。 ③(大質量探索)原子核乾板を用いた暗黒物質探索実験は、質量を稼げるという長所がある。平成28年度から平成29年度にかけてグランサッソ研究所での地下バックグラウンドの観測を行った。 平成29年度はその解析を進めるとともに、解析の高度化のために、ナポリ大にて超解像解析システムの開発と環境構築を行い、本格的な実装を行った。また将来の大型化に向けて、kgスケール解析を目指した高速解析システムの開発も開始した。 ④これまでの本計画研究主催の若手研究会を通じて、地下環境での中性子バックグラウンド測定が領域全体に資する重要な測定となることが分かった。平成28年度より田中を中心として神岡地下実験施設での中性子バックグラウンドの測定を開始、平成29年度には結果を論文化して投稿した。 実績の概要に記した通り、3つの計画とも計画通りに研究が進んでいる。平成29年度は、地下実験施設での中性子バックグラウンドの測定で結果を得ることが出来たために(1)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後とも研究分担者との連携を密にして、計画通り研究を進める。特に平成30年度は最終年度にあたるため、計画通りに進捗するように特に注意する。
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Research Products
(66 results)