2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Revealing the history of the universe with underground particle and nuclear research |
Project/Area Number |
26104008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹内 康雄 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60272522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏見 賢一 徳島大学, その他の研究科, 教授 (90274191)
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (90402768)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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Keywords | 低放射能 / ラドン / NaI / 純水 / バックグラウンド / 地下実験 / 素粒子実験 / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主に、1. NaI(Tl)結晶シンチレーターの高純度化、2. 純水中のラドン濃度測定の高感度化、3. 神岡坑内での分析装置の構築準備、4. 研究会での情報の共有、に取り組んだ。 1.に関して、NaI(Tl)結晶に含まれる放射性不純物のうち、210Pbとその子孫核を効果的に除去するために、クラウンエーテル樹脂による吸着を試みた。その結果、世界最高感度のNaI(Tl)を使用しているDAMA/LIBRAと同等の濃度である約50 μBq/kgを達成した。226Raの不純物については期待したほど向上しなかったため、るつぼの純度等についてより良い方法を検討している。 2.に関して、活性炭によるラドン濃縮の系統誤差を削減する手法を開発した。その手法を用いてスーパーカミオカンデ(SK)水中ラドン濃度の分析作業も行い、SK検出器中心付近で0.4mBq/m3との仮の値を得た。この測定手法をC班の硫酸ガドリニウム水溶液へ適用するためのシステムを構築した。現在、試験運転を行っている。硫酸ガドリニウム水溶液からラジウムを除去するための樹脂の開発にも着手した。 3.に関して、神岡坑内LAB-A実験室内に、本研究で利用する各種分析装置を設置する共同利用の申請を宇宙線研究所に行った。ラドン用分析装置、結晶中不純物分析装置(A02班と共同)、表面アルファ分析装置(B02班と共同)を設置する計画を立てた。本分析装置に必要な物品の準備を進めた。 4.に関して、「極低放射能技術」研究会を開催し、現行の各実験グループで問題となっているバックグラウンド源について情報を交換・共有した。さらに実験装置の高感度化に向けた低放射能技術の研究開発のアイデア等に関して議論した。各研究グループの最先端の問題点なども議論するために、研究会の内容は一般には非公開とした。参加者は57名と盛況であった。このような情報交換の場は有意義なものであった。来年度も継続してこのような機会を持ちたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、純ガス、純水、NaI(Tl)結晶中の放射性不純物を測定・除去するためのシステム構築に取りかかる計画であった。この目標に対して、物品の準備、各種の要素技術の開発など、おおむね順調に進展していると判断します。 研究員の雇用が当初の計画通りには進んでいないが、その代わりに、各種分析システム構築用の物品の購入を行い、準備を進めた。これらの装置は神岡坑内に設置する計画としており、坑内実験室が利用できるのはH28年度からの見込みであるため、特に問題は生じない。 純ガス中のラドン分析に関しては、検出器の基礎特性の決定を行い論文による報告を行った。ナノ素材による除去する方法に関しては進捗がなかったが、本トピックは今後より時間をかけて最適な手法を開発したいと考えている。NaI(Tl)結晶の高純度化について、210Pbに関して進捗がみられた。226Raに関しては当初目標まで到達できなかったが、対策は考えられている。 純水中のラドン濃度の測定に関しても高感度化を進め、sub-mBq/m3の感度を得ることに成功した。純水中のラジウム測定に関して、当初、共沈法と沸き出しラドンの測定の2種類の手法について検討を進めていたが、共沈法においてはバリウム試薬の高純度化が容易ではないため、今年度は沸き出しラドンを用いた水中ラジウム測定システムの構築に取り組み始めた。本装置を用いて、樹脂による水中ラジウム除去能力を評価する予定である。 当初の計画にはなかったが、A02班と共同で、結晶中不純物分析装置を開発することにした。領域内での情報交換を密に行うようになったため、実現ができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、坑内での各種放射能分析装置の構築、データベースでの公開に向けて、各種要素技術の開発に取り組む。 NaI(Tl)結晶の更なる高純度化に向けては、特に226Raを低減するために化学処理および坩堝の選定を行う。化学処理の方法および坩堝の選定についてはD01班のメンバー内で検討した結果素材の選定が進んでいる。検出器周辺素材の選定が次の課題となっているため、業者から使用素材を取り寄せてGe検出器を用いたスクリーニングを進め、最善の素材を使用してNaI(Tl)検出器の高感度化を推進する。
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Research Products
(29 results)