2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | 3D Active-Site Science |
Project/Area Number |
26105003
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野村 琴広 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20304165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
平野 雅文 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70251585)
本倉 健 東京工業大学, 物質理工学院, 講師 (90444067)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 合成化学 / 有機金属化学 / 分子触媒化学 / 触媒設計学 / 協奏機能表面 / 環境調和型合成手法 / 効率炭素-炭素結合形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画班はナノ触媒の局所的活性サイトの3Dイメージングの実現やその方法論・学理の確立を目的に、正確で多角的な3D活性サイトイメージングに立脚した触媒設計という次世代型触媒開発における新機軸を打ちだし、その体系を基盤とした革新的触媒の創製を指向している。平成27年度の成果の概要は以下の通りである。 環状オレフィンの開環メタセシス重合に、従来触媒よりも耐熱性に優れ、高活性を示すバナジウム錯体触媒、及び高cis特異的な重合を可能とする錯体触媒を創製した。光電子分光測定に向けたMoなどの錯体・単結晶を用いた予備検討(超高真空中で試料清浄化後にXPS計測)では、照射ダメージは少なく、再現性に優れる結果を得た。 Pd(II)錯体による不飽和化合物のカップリング反応や電子不足不飽和化合物に対するヒドロシリル化や脱水素アレーンカップリング反応の活性中間体の単離などに成功した。 金ナノ粒子をセリアナノ粒子で包み込んだコア-シェル型ナノ構造触媒の合成に成功し、金属-担体との接合界面において協奏的触媒作用が発現することを明らかにした。また、パラジウムナノ粒子を銀ナノ粒子で包み込んだコア-シェル型ナノ構造体を合成し、ナノ構造体イメージング班との共同研究により本構造体のイメージングに成功した。 シリカ表面にRh錯体と第三級アミンを固定した触媒が、フェニルホウ酸の不飽和ケトンへの1,4-付加反応に高活性を示すこと、Pd錯体と有機強塩基を固定した触媒表面で求核剤のアリル化反応が効率よく進行することを見いだした。手法班との連携でモデル触媒表面の反射率測定を試みた結果、固定化錯体は表面に対しておよそ60度傾いて存在し、協奏機能効果の発現が示唆された。この知見を基によりPd錯体と有機分子が込み合った状態の触媒表面の開発・構造解析に成功し、アリル化反応に極めて高い触媒回転数を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者及び分担者は、目的に向けた所定の成果を得ており、測定班との連携の成果も学術論文として一部受理・掲載に至っている。また、関連化学で非常に重要・有用な知見を数多く得ており、その成果は学術論文や国際会議での招待講演等を通じて高い評価を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までの成果を基盤に課題を発展させるつもりである。 3D活性サイトイメージングのモデルとなる分子結晶・触媒活性種の合成: 今迄と同様、高効率炭素-炭素結合形成に有用な触媒試料・高反応性有機金属化学種(中間体)を手法・測定班に継続的に提供することを目的に、反応性(配位子)の異なる有機金属化学種を合成・単離し、関連化学の知見(活性や選択性)に関する知見と併せて、反応機構の解明や高性能触媒の設計に活かしたいと考えている。 担持ナノ粒子触媒や協奏機能表面: 官能基特異性に優れるナノ粒子触媒の活性サイトイメージングにおけるサンプル選定に関するいくつかの懸案事項は解決しており、今後は実測定に向けた残る懸案事項の解決や測定結果や関連化学の知見と併せて局所的な活性サイトイメージングに関する情報を取得したいと考えている。多機能固体表面の設計・合成については、既に反射率の測定などを基に、具体的なイメージができつつあるので、手法班との連携により、局所構造や反応機構に関するより具体的な解析に取り組みたいと考えている。
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Research Products
(42 results)