2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | 3D Active-Site Science |
Project/Area Number |
26105009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
郷原 一寿 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40153746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 順 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (40335071)
塩谷 浩之 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (90271642)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ構造体 / 電子顕微鏡 / 電子回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶性を持たない、ナノスケールのナノ構造体に対して、3次元で原子分解能を実現するイメージングの新たな方法論を開拓し、本領域に積極的に貢献することを目的として、年次研究計画に示した6つのサブテーマを設けて進めている。平成29年度は、1.装置改良をほぼ終了し、2.アルゴリズム構築、3.ターゲット試料生成の2つのサブテーマをさらに進め、4.ナノイメージングの検証実験に加えて、5. 実験結果の解析に関する研究をさらに展開した。2、4については計画班内で進め、3については昨年度に続き、試料を担持するナノサポートとしてのFree-standingグラフェンの作成および単原子のグラフェン上への担持に関する研究を計画班内で行い、ターゲット試料の調整および理論モデルは、試料班および理論班と連携して研究を進めた。 具体的には、以下の項目を並列して進めた。 ・位相回復法に関する実験的及び理論的研究 ・単層グラフェン合成法の開発、プラズマスパッタリングによるグラフェン上へのPt単原子の分散、SiOx分子のグラフェン上吸着サイトの特定 ・有機分子のイメージング、金属クラスターのイメージング、アミド還元反応を進行させる触媒のイメージング これらは、ナノ構造体を3次元で原子分解能イメージングする新たな方法論を開拓した結果得られたものであり、平成30年度はこれまでの成果を基盤にして、本課題であるナノ構造体イメージングをさらに加速して大きく展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・照射電子ビームの干渉性とレンズ収差の影響を定量的に計測し、その影響を取り除く手法の開発を行い、ナノ電場のイメージングを進め、さらに、電子線回折イメージングの高精度化に重要な電子ビーム干渉性の定量計測方法を開発した。回折イメージングに使用する制限視野絞りからAiry回折図形を取得し、レンズ収差等も考慮した強度フィッティングを行うことにより、ビームの空間干渉長を相対誤差10%以内で計測することが可能となった。 ・位相回復を用いた回折イメージングのアルゴリズム計算において、実験で得られた回折パターンにノイズや欠損がある場合に有効なアンサンブル型の欠損補完アルゴリズムにK-Means法導入し、収束性に対する有効性を検証し、さらに位相問題の応用を展開した。 ・単層グラフェン合成法を詳細に検討した結果、銅箔の上下で成長した単層グラフェンが、転写の過程で重なることが明らかとなり、これを解決する方法を考案した。 ・ナノ触媒班との共同研究によって、温和な条件でのアミドの還元反応を進行させる触媒の開発に成功し、その活性サイト構造を明らかにした。 さらに、ターゲット試料を担持するCVDによる単層グラフェン合成、リップル再構成イメージング、単原子分散体の合成とナノイメージング、他の計画班および公募班との連携研究も積極的に展開した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は計画班内での研究に加えて公募班を含めた他の計画班との連携研究を積極的に進めており、平成30年度はこれまでの成果を基盤にして、本課題であるナノ構造体イメージングをさらに加速して、それまでの結果をまとめる。 具体的には、単原子、単分子、ナノクラスターなどのナノ構造体を、グラフェンを担持材料として、電子顕微鏡によって原子分解能イメージングする手法およびそれを応用する研究をさらに進める。特に、プラズマスパッタリングによるグラフェン上へのPt単原子の分散に関する研究結果をまとめる。また、グラフェン上にコンタミが多い試料に対して、収差補正電子顕微鏡により、TEM(透過電子顕微鏡)、STEM(走査型透過電子顕微鏡)、EDX(エネルギー分散型X線分析)、EELS(電子エネルギー損失分光)機能を用いて、吸着している元素およびサイトを解析した結果、SiOx分子がナノグラフェンのステップエッジに吸着することが明らかになってきた。理論班との共同研究により、DFT計算を援用して、実験と理論計算による吸着サイトおよび安定構造の解明を進める。また、ポルフィセン分子を用いた場合、金属単原子が凝集せずにグラフェン表面に担持可能であり、新規な金属単原子の分散法として有用であることが明らかとなってきた。有機分子のイメージングを含めて実験を進める。さらに、粒径2 nm以下の金属クラスターは、サイズ、組成,幾何構造により多様な電子状態をとるためバルク金属では見られない特異な性質を示すが、金ナノクラスターについて、これまでの一連の予備実験・改良を元に、マルチスライス計算を用いた3D構造再構成の方法によって、3D構造解析を行う。
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Research Products
(18 results)