2014 Fiscal Year Annual Research Report
データ取得と3D原子イメージ再生アルゴリズムの研究
Project Area | 3D Active-Site Science |
Project/Area Number |
26105013
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
松下 智裕 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 制御・情報部門, 副主席研究員 (10373523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八方 直久 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (30285431)
窪田 昌史 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (60305787)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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Keywords | 原子構造解析 / アルゴリズム開発 / 蛍光X線ホログラフィー / 光電子ホログラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究班の課題と実施時期として、課題1「共通3D活性サイト解析プラットフォームの構築」(H26-27)、課題2「高精度低ノイズ計測系開発」(H27-H29)、課題3「4D空間の高解像度再生」(H28-H30)を掲げている。本年度は各課題で研究が進んだ。課題1として、解析プラットフォームのソフトウエアを開発を行った。このソフトウエアの開発コードを3D-AIR-IMAGEとした。光電子ホログラフィーや蛍光X線ホログラフィーの解析ツールはこのプラットフォームのプラグインとして提供し、統一的な操作でデータ解析ができるようにした。光電子ホログラフィーのシミュレーションや原子像再生、蛍光X線ホログラフィーのシミュレーションと像再生まで実装が進んだ。また、高性能計算アルゴリズムの開発については、数学協働プログラムに参画している東北大赤木と緊密な連携の結果、従来の1/300程度の時間で原子像が再生出来るアルゴリズムを開発できた。 課題2の高精度計測系に関しても進展があった。蛍光X線・中性子線ホログラフィーの研究班と、蛍光X線ホログラフィーの開発を協議し、精度を上げるための計測系を考案した。年度末に測定装置が納入されたため、この測定プログラムの開発に着手したところである。パルスモーターの回転と同期を取りながら測定できる高速カウンターを導入しており、従来よりもパルスモーターを高速回転させても、カウンターとの同期がずれなくなった。このため測定時間を短くすることが期待できる。 課題3の4D空間高解像度再生に関しては大型計算機上での像再生コードのテストを行い、並列化処理などを施して、計算時間の短縮化を行った。並列度16の状態で従来の1/40程度で計算できた。前述の新しいアルゴリズムとの融合は来年度に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画では3つの課題、課題1「共通3D活性サイト解析プラットフォームの構築」(H26-H27)、課題2「高精度低ノイズ計測系開発」(H27-H29)、課題3「4D空間の高解像度再生」(H28-H30)を予定していた。課題1に関しては、本年度にかなりの部分が完成し、光電子ホログラムと蛍光X線ホログラムの解析を可能にした。また、蛍光X線ホログラフィーでは高速な計算法の開発にも成功した。すでにテスト利用を開始している段階にある。ただし、実験データを保存するデータベースの開発が残っている。この課題1の5年間全体に対する進捗率は70%程度であり、想定していたよりも研究開発は進んだ。 課題2はH27-H29に行う予定であったが、蛍光X線ホログラムの測定系開発の協力が進み、測定装置の納入完了直後から測定プログラムを始めている状態である。2015年度前半までには実測定に使用できるまでに完成できるだろう。来年度は高感度カメラを利用した光電子ホログラムの測定系開発を行う予定があり、この課題の進捗率は10%程度と考えている。 課題3 はH28-H30に行う予定であるが、大型計算機へのブログラムの移植を進めている。今まで使用されてきた蛍光X線ホログラフィーの再生計算プログラムを大型計算機に移植し、並列化などを最適化を行った上で、その実行速度テストまで完了している。今後は大型計算機用データフォーマットの策定や新しい再生アルゴリズムの処理、光電子ホログラムの処理などを移植していく必要がある。この課題の進捗率は5%程度と見積もっている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1「共通3D活性サイト解析プラットフォームの構築」のプラットフォームソフトウエアのテストとバグフィックスを行いつつ、解析プラグインの拡充を進める。マニュアルなどを整備して、新学術領域の他の研究班がすぐに使い始められるようにし、3D活性サイト科学の研究の加速を図る。また、蛍光X線ホログラム解析では、1枚のホログラムからの原子像再生が可能なアルゴリズムの開発に挑戦する。成功すれば実験時間の大幅な短縮につながる。光電子ホログラムでは、さらに高精度な像再生が可能になるアルゴリズム開発をすすめる。また、来年度は3D活性サイトのデータベースの構築を重点的に進め、プラットフォームと連携できるようにしていく。 課題2「高精度低ノイズ計測系開発」の研究を本格的に開始する。完成したプラットフォームソフトウエアのプラグインとして、蛍光X線ホログラムと光電子ホログラムの測定プログラムを作る。実験しつつ解析がシームレスに行えるようにしていく。 課題3「4D空間の高解像度再生」は、2014年度に開発した新たなアルゴリズムを大型計算機に移植して、さらなる高速化を目指す。また、汎用的に計算できるように、大型計算機用のデータフォーマットを策定していく。さらに、計算コードが複雑な光電子ホログラフィーの解析ブログラムの移植の検討も行う。
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[Journal Article] Local atomic configuration of graphene, buffer layer, and precursor layer on SiC(0001) by photoelectron diffraction2015
Author(s)
H. Matsui, F. Matsui, N. Maejima, T. Matsushita, T. Okamoto, A. N. Hattori, Y. Sano, K. Yamauchi, H. Daimon
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Journal Title
Surface Science
Volume: 632
Pages: 98-102
DOI
Peer Reviewed
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