2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
26107007
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 薬学部, 教授 (80388115)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | π電子系 / イオン会合 / 分子集合化 / 光応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、合成化学を基礎とし、π電子系イオンからなる次元制御型集合体を設計・創製し、光応答性ユニットの導入による集合体形態および電子物性の光駆動型制御に挑戦した。π電子系イオンからなる集合体・材料を創製し、導入した光応答性ユニットの形状変化によって増幅誘導される、形態および電子物性の時空間変調を試みた。すなわち、光駆動による集合体形態と電子物性(半導体物性や強誘電性)を目標とし、光駆動性を有するπ電子系の設計・合成を研究の基礎として、「多分子間の協奏した光変調を誘起できる分子協調場の構築」という課題を解決するべく、本領域における新物質創製の観点から研究推進を検討した。 アニオン応答性π電子系に芳香環置換エチニル基を新たに導入し、溶液中および固体状態における多様なアニオン会合形態(平面状[1+1]型、インターロック[2+1]型)の発現を明らかにした。このとき、[2+1]型会合体と対カチオンとのイオンペアにおいて、完全電荷種分離配置型集合体の形成を見出した(Chem. Eur. J. 2016)。とくに光応答性ユニット(アゾベンゼン)をカチオン種として導入し、π電子系アニオン(会合体)とのイオンペア集合体の形成に成功した(J. Photochem. Photobiol. A 2016)。また、π電子系に連結した酸ユニットの脱プロトン化および分子内水素結合安定化による、非会合型π電子系アニオンの創製および対カチオンとの集合化を、新たなイオンペア集合体の形成手段として報告した(Chem. Commun. 2015)。この手法を拡張し、芳香族安定化されたπ電子系アニオン種を基盤とした、多様なイオンペア集合体(結晶・サーモトロピック液晶)の形成を見出し、半導体物性の評価も行った(Chem. Eur. J. 2016)。さらに、オリゴピロールπ電子系の電子求引性置換基導入による安定化と次元制御型集合化も実現した(Chem. Commun. 2016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々試行した結果、イオンペア集合体の構成ユニットへの光応答性の付与に成功し、今後、集合化形態・機能性の評価を行う目処を付けることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して光応答性を発現するπ電子系イオンの形成およびその集合体の形成を実施し、集合化形態・電子物性に対する光応答性の検証を行う。
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