2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子軌道のトポロジーと分子配列に着目した多機能光応答システム
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
26107008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 建児 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80262145)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / 自己組織化 / STM / 協同性 / 分子電導 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジアリールエテン骨格のπ共役を拡張させていくと、2つのチオール基間のπ共役が開環体でON、閉環体でOFFとなるものと、開環体でOFF、閉環体でONとなる2種類の分子が設計できる。分子骨格は同じであるために、HOMOやLUMOの準位の変化は同じであり、ギャップから考えると開環体でOFF、閉環体でONとなる。これらの分子と金微粒子でネットワークを作成し、光照射時のコンダクタンスの変化を測定し、電導メカニズムにおいて、π共役系のつながり方、つまりトポロジーの重要性を明らかにした。 また、固液界面でのSTM測定により、観察できる2次元配列について、表面被覆率の濃度依存性を測定することにより、その配列形成のメカニズムについて検討した。その結果、2-チエニル型のジアリールエテンの開環体が、核形成の平衡定数に比べて伸長の平衡定数が大きい、つまり、協同性の高い配列形成メカニズムを取っていることが明らかとなった。また、閉環体は同程度の濃度ではまったく配列を形成しないことも明らかとなり、高い協同性を用いた高い刺激応答性を持つシステムを構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の大きな目標、(1)π共役分子の電気伝導において、π共役系のつながり方、つまりトポロジーの重要性を明らかにする、(2)固液界面で形成される2次元配列の形成において、配列のプロセスにおける協同性の評価法を確立する、の2項目について進展が見られた。今後の発展も期待できることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ジアリールエテン骨格のπ共役系はトポロジー的にさまざまな方向へ伸長させることができ、また、その光スイッチングにおけるπ結合様式の変化挙動も多種多様な様式のシステムを作ることができると考えられる。今後は、様々なスイッチング挙動を持つジアリールエテンについてπ共役のトポロジーの変化とその物性変化を結びつけた分子システムについて検討する。 また、固液界面での光による共同的組織化の制御について、本年度は、高い協同性をもたらすための核生成と伸長の平衡定数と分子構造の相関について調べることを目的とする。アルキル鎖の長さ、ジアリールエテンの開環体と閉環体、水素結合性のアミドの有無などにおける平衡定数の変化について検討を行う。
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Research Products
(45 results)