2016 Fiscal Year Annual Research Report
分子軌道のトポロジーと分子配列に着目した多機能光応答システム
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
26107008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 建児 京都大学, 工学研究科, 教授 (80262145)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / 自己組織化 / STM / 協同性 / 分子電導 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、固液界面での光による協同的組織化の制御について、アミド基を有する3-チエニル型のジアリールエテンの開環体と閉環体の両方が共同的組織化を示すことを明らかにし、光照射に伴う多段階の配列制御が可能であることを示した。 また、キラル分子の2次元配列についても興味深い結果を得た。5-エチルチオフェンを側鎖に持つジアリールエテン閉環体1と5-フェニルチオフェンを側鎖に持つ閉環体2はどちらもoctanoic acid/HOPG界面上で2次元配列を示した。表面被覆率の濃度依存性を調べると、1では、片方のエナンチオマーではラセミ混合物の半分の濃度で配列を形成したのに対して、2では、片方のエナンチオマーでもラセミ混合物でも表面被覆率の濃度依存性に違いはなかった。さらに、1では、ラセミ混合物では6方向の配列が観測され片方のエナンチオマーでは3方向の配列が観測されたのに対して、2では、片方のエナンチオマーでもラセミ混合物でも3方向の配列が観測された。これらのことから、1では2つのエナンチオマーは分晶するのに対して2では混晶を形成することが示唆された。 ジアリールエテン骨格のπ共役を拡張させていき、2つのチオール基間のπ共役が開環体でON、閉環体でOFFとなるものと、その逆になる2種類の分子を設計、合成した。分子骨格は同じであるためにHOMOやLUMOの準位の変化は同じであり、エネルギーギャップから考えると開環体でOFF、閉環体でONとなる。これらの分子と金微粒子でネットワークを作成し、光照射に伴うコンダクタンスの変化を測定し、電導メカニズムにおいてπ共役のつながり方、つまりトポロジーの重要性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々はこれまでにSTM測定によって得られる表面被覆率の濃度依存性プロットによって、分子が固液界面に形成する配列の協同的組織化に関する知見が得られることを示してきた。今年度は、表面被覆率を構成成分それぞれの濃度に対してプロットすることによって、構成成分の固液界面での配列が分晶する場合と混晶を区別することができることを明らかにした。これは当初の計画には想定していなかった質的に進歩した展開であり、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
表面被覆率を構成成分それぞれの濃度に対してプロットすることによって、構成成分の固液界面での配列が分晶する場合と混晶を区別することができることを明らかにしたので、今後は、この手法を用いて構成成分の混和性に関する知見を定量的に得ることを目標にしたい。
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Research Products
(11 results)