2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
26108003
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
本谷 秀堅 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60282688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井宮 淳 千葉大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10176505)
増谷 佳孝 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (20345193)
石川 博 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60381901)
奈良 高明 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80353423)
松添 博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90315177)
清 智也 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20401242)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 医用画像処理 / 非剛体位置合わせ / 解剖学的ランドマーク / ロバスト統計 / グラフカット / 変分法 / 逆問題 / 統計モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
多元計算解剖モデルを構築する際に解決すべき事柄のうち、既存の技術では充分には解決できない数理的課題の多くが、画像間・図形間の非剛体位置合わせに見いだされる。特に、空間分解能の大きく異なる画像間の位置合わせやモダリティや撮像時期の異なる解剖構造間の位置合わせ問題は、多元計算解剖学の基礎数理の核を成す。そこで今年度は昨年度に引き続き、A01-2班ならびにA03-1班と協働し、KPCマウスの膵癌多元計算解剖モデルの具体的な構築作業を進めるとともに、その構築に必要な病理画像3次元化のための新たな非剛体位置合わせ法を開発するとともに、実装を進めた。膵臓の2次元顕微鏡画像群を3次元MR画像へと位置合わせしなければ、膵癌の経時変化とミクロ構造の双方を同時に表現する統計モデルは構築できない。この位置合わせを実現するために、2次元顕微鏡画像群を相互に位置合わせすることにより3次元顕微鏡画像をまず構築し、その後、3次元の顕微鏡画像とMR画像とを非剛体位置合わせする方針を固めた。この一連の作業のうち、昨年度より2次元顕微鏡画像画像群の位置合わせ法の開発を進め、今年度は、その数理基礎の構築とアルゴリズムの開発ならびにその実装を終えた。まだ国内の研究会での報告に限定されてはいるが、A01-2班ならびにA03-1班との共著で発表することも出来た。 上記病理画像間の位置合わせ法の実現に加えて、昨年度に引き続き、グラフカットによる最適化に関わる理論を発展させ、変分法を利用する新たな医用画像解析法を開発して成果を挙げるともに、学習データが従う確率密度分布モデルの選択に関わる統計理論を発展させることに成功した。また、多元計算解剖学の数理基礎として考えるべき課題が明らかになったため、その課題に近い数理を専門とする研究者として東大の清智成教授に新たに分担者として加わっていただき、議論を重ねることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
他班との共同研究件数を新たに立ち上げるとともに、昨年度より開始した各共同研究において成果が出始めた。特に、A01-2班・A03-1班と共同研究している膵癌の多元統計モデル構築については、顕微鏡画像とMR画像との位置合わせの第一段階として、2次元顕微鏡画像を適切に3次元化できる目処がついた。従来の位置合わせ法と異なり、顕微鏡画像中の構造認識をまず行い、次に認識された構造の3次元形状に基づき位置合わせをすることが必要であることを指摘し、そのような位置合わせ法を実現し、膵臓病理画像群の位置合わせを実際におこなった。共同研究としては、今年度より加わった公募班のうち3班と共同研究を立ち上げ、それぞれの班との画像の共有を済ませるとともに、多元計算解剖学として取り組むべき課題を焦点化することができた。これら共同研究は、アルツハイマー病のための機能軸を統合する脳モデルの構築、電磁場強度分布シミュレーションを活用する脳外科手術のための逆問題推定モデルの構築、反応-拡散連立微分方程式の妥当性を検証するための肝臓脈管モデルの構築から成る。いずれも対象やモダリティが大きく異なるが、これら共同研究テーマに共通して現れる数理上の難点、すなわち既存の技術では解決の困難な問題群は、多元計算解剖学の数理基礎を体系化する上でも有用である。具体的には、画像間の位置合わせと画像内の解剖構造の記述がいずれの研究でも「難点」であり、各難点の解決を部分的にではあるが、既に解決することができはじめている。ただし、具体的な多元計算解剖モデルの完成には至っておらず、当初の計画以上と評価することはできない。
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Strategy for Future Research Activity |
計画班だけではなく公募班を含む他班との意見交換を適宜おこない、数理のための数理とならぬよう気をつけつつ、基礎理論の構築を進める。すなわち、取得する画像のモダリティと撮像プロトコル、多元計算解剖モデルで表現すべき病気や臓器の選定、画像間の位置合わせで要求される精度について充分に相談しながら、基礎理論と多元計算解剖モデルの構築を進める。画像間の位置合わせは、画像間の距離を定義する測度をいかに定義するかに依存して、その結果が変化する。医学的に妥当で臨床応用に耐える位置合わせの実現が、位置合わせ関連する数理のうちどの部分を発展させることによって可能となるのかは、いまのところ自明ではない。医学、工学、数学の統合が不可欠であり、この統合は班内・班間の共同研究が必須である。積極的な打ち合わせと意見交換を継続したい。 具体的な対象は、まずはKPCマウスの経時MR画像と膵臓の病理画像群とする。経時MR画像群を解析することにより時間軸を統合するマクロな経時変化モデルを構築し、MR画像と病理画像を同時解析することにより空間軸を統合する多重解像度モデルの構築を目指す。経時変化モデルは膵癌腫瘍の肥大過程を表現することが期待できる。これは腫瘍の機能軸・病理軸に沿ったモデルに他ならない。このほか、今年度末までに計画班や公募班と共有できた様々な部位の様々なモダリティ画像群の解析と統計モデル化を進めつつ、数理基礎の発展を図る。
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Research Products
(51 results)