2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Homeostatic Regulation by Various Types of Cell Death |
Project/Area Number |
26110002
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須田 貴司 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (70250090)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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Keywords | プログラム細胞死 / 炎症 / パイロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
パイロトーシスはカスパーゼ1依存性の炎症誘導性細胞死である。本研究はパイロトーシスの分子機構と役割の解明を目的としている。本年度は下記の成果を得た。1)我々が独自に樹立した、パイロトーシスを全細胞に誘導しうる細胞株にshRNAライブラリーを導入し、誘導後に生き残った細胞に濃縮されるshRNAを網羅的に同定した。これらのshRNAの標的遺伝子はパイロトーシスの実行に関与する蛋白をコードしている可能性がある。実際、カスパーゼ1の上流で働くASC(遺伝子名PYCARD)を標的とするshRNAが含まれていたことから、このスクリーニングは機能したと判断した。今後は同定した遺伝子の機能の解析を進める。2)我々は、FKBP-F36V変異体の直列3量体(Fv3)をカスパーゼ1、8、9と融合したcDNAを細胞株に発現させ、FK506誘導体AP20187処理でカスパーゼ1,8,9の多量体化を誘導することで、パイロトーシスやアポトーシスを誘導しうる実験系を確立した。本年度はこれらのcDNAを導入したマウス腫瘍細胞株を樹立した。これらの細胞株をAP20187で刺激したところ、予想どおりFv3-カスパーゼ1発現株はパイロトーシスを、Fv3-カスパーゼ8、9発現株はアポトーシスを起こすことを確認した。現在、これらの細胞株を同系マウスに移植し、腫瘍を形成した後にAP20187を投与することで、生体内で各々に特徴的な細胞死が誘導されるか検討を行っている。3) 我々は同一の細胞株に異なる遺伝子を導入することで、同一の刺激でパイロトーシスを起こす細胞株とアポトーシスを起こす細胞株のセットを樹立している。本年度は、ヒト大腸がん細胞株COLO205由来のセットでアポトーシスとパイロトーシスで細胞から放出される物質の網羅的な比較解析を行った。今後他の細胞セットでも同様の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した本年度の研究計画に沿って研究に着手し、おおむね順調に研究が進展している。特に、パイロトーシスの分子機構の研究では、shRNAライブラリーを用いたスクリーニングで新規パイロトーシス実行分子の候補が見つかり、今後の研究の発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要1)に記載したパイロトーシス実行分子候補の中に、カスパーゼ1との相互作用が報告されているものがあったので、今後は先ずこの分子の機能解析を優先的に行う予定である。2)の研究では、Fv3カスパーゼ発現細胞のみからなる腫瘍はAP20187の投与で退縮すると予想していたが、今のところ個体間、実験間で効果にバラツキが大きいため、AP20187の効果を安定させるよう投与方法などを工夫する。また腫瘍の退縮に至らないケースでも、腫瘍内では細胞死が起きているとみられ、その効果を詳細に解析することで、細胞死による周囲の腫瘍組織への影響を明らかにする研究を行う予定である。
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Research Products
(9 results)