2017 Fiscal Year Annual Research Report
生体内における多様な細胞死シグナルの可視化・検出系の開発
Project Area | Homeostatic Regulation by Various Types of Cell Death |
Project/Area Number |
26110005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 良文 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10447443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 聡子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (90415159)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)パイロトーシスの制御機構と周辺への影響の解析:昨年度までに同定した、パイロトーシス細胞からのダイイングコード放出に影響を及ぼす新規因子候補群の絞り込みをノックアウト解析により行ない、候補因子を絞り込んだ。 2)マウス発生過程で生じる細胞死の役割と制御の解明:昨年に引き続き、マウス神経管閉鎖後に大量に生じるアポトーシス細胞の役割について解析し、神経管閉鎖後の表皮の形態形成運動に関与することを明らかにした(登校中)。また、昨年度に報告した大量のアポトーシスが生じる神経管閉鎖期に胚のグローバルな代謝変化が生じることを明らかにした仕事に引き続き、胚の代謝変化期に必要とされる栄養取り込み機構に関わる因子を明らかにした(JCS, 2017)。 3)新規細胞死制御モデル動物の導入:哺乳類の細胞死の制御機構を明らかにするため、冬眠する哺乳類シリアンハムスターを細胞死研究に導入した。まだ仕組みの詳細がわかっていない低温誘導性細胞死の誘導機構を明らかにするモデルとして有用であることを示した。 4)非アポトーシス性細胞死の役割の解析:非アポトーシス性細胞死のひとつであるオートファジー細胞死の生体での役割を明らかにするため、アポトーシスの起きないBax/Bak DKOマウスと、オートファジー細胞死の起きないAtg5KOマウスをかけあわせ、トリプルノックアウトマウスを作成した。そのマウスを解析した結果、オートファジー細胞死が生体内でアポトーシスの代償機能を果たし胎仔期の指趾や脳の形成に機能していることを明らかにし、論文を発表した(Cell death Diff. 2017)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パイロトーシス細胞からのダイングコード候補およびその放出制御に関わる因子の絞り込みに成功しており、新たな知見が得られるものと期待される。また、in vivoにおけるアポトーシスの制御機構として細胞分化運命が関与することを示唆するデータについても進展が見られた。昨年までに明らかにした、大量にアポトーシスが生じる時期の胚の代謝変化に重要な栄養取り込み機構に関わる因子を明らかにし論文として報告した(J Cell Sci,, 2017)。また、細胞死には大きく分けてアポトーシスと、アポトーシスによらない非アポトーシス細胞死があるが、これまで、非アポトーシスの生体内での機能については解析が進んでいなかった。非アポトーシスの代表であるオートファジー細胞死の役割を遺伝学的手法により解明した(Cell Death Diff., 2017)。さらに、新規細胞死制御モデル生物を導入し、いまだその分子機構が不明である低温誘導性細胞死の制御機構に迫るてがかりを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は領域の最終年度として、以下の点に引き続き注力し研究を推進していく。 1)死細胞から発せられるダイイングコードの放出動態および機能解析:昨年度に引き続き解析を行い、パイロトーシス時のダイイングコード放出機構について論文を発表する。 2)発生過程で生じるアポトーシスの制御機構とその役割について、成果を論文として報告する。 3)組織特異的オートファジー欠損マウスが胎生致死となることを現在までに確認しているが、アポトーシスを起こさないマウスと掛け合わせると、正常に生まれてくることを見出した。このマウスの解析を進め、組織特異的なオートファジー、アポトーシス細胞死機能について明らかにし、論文にまとめる。 4)細胞が細胞接着から剥がれることにより起こる細胞死のアノイーキスについても解析し、アポトーシスやこれまでに報告されている細胞死によらない、新規の細胞死であることを見出している。これについても論文にまとめる。
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[Journal Article] The CCR4-NOT deadenylase complex controls Atg7-dependent cell death and heart function2018
Author(s)
Yamaguchi T, Suzuki T, Sato T, Takahashi A, Watanabe H, Kadowaki A, Natsui M, Inagaki H, Arakawa S, Nakaoka S, Koizumi Y, Seki S, Adachi S, Fukao A, Fujiwara T, Natsume T, Kimura A, Komatsu M, Shimizu S, Ito H, Suzuki Y, Penninger JM, Yamamoto T, Imai Y, Kuba K
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Journal Title
Science Signaling
Volume: 11
Pages: 3638~3638
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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