2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
26112002
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 高頻度逆行性遺伝子導入 / 光遺伝学 / 化学遺伝学 / 刺激弁別学習 / 皮質基底核回路 / 機能シフト |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループは、遺伝子操作を利用して神経回路を操作・改変する新規技術の開発を進めてきた。特に、高頻度逆行性遺伝子導入ベクターを応用した経路選択的な回路制御技術は、選択的プロモーターが特定されていない細胞種においても機能操作が可能であるため、脳科学分野の研究に広く資する可能性が期待されている。本研究では、我々の遺伝子改変技術をさらに発展させ、第一に、神経回路の経路選択的な活動制御を目的に、光や化学物質に応答する膜タンパク質を目的の神経路に導入し、任意の時期に活動を調節する新しい技術(光遺伝学および化学遺伝学)の開発に取り組み、第二に、学習のプロセスに伴って回路が機能シフトをおこす神経機構について、大脳皮質―基底核ループを介するメカニズムの解明に取り組むことを目的にしている。本年度は、光遺伝学による経路選択的な神経活動制御のために、部位特異的組換え反応を応用した二重遺伝子導入法を用いて特定の神経路において抑制性の光感受性タンパク質を効率よく発現させるシステムを構築した。また、化学遺伝学による経路選択的な活動制御のために、二重遺伝子導入法を用いて特定の神経路においてDREADDのhMD3およびhMD4受容体の遺伝子を発現させる実験系を構築した。学習プロセスにおける回路の遷移に関わる神経機構を解明するために、大脳皮質―基底核ループ回路に着目し、刺激弁別課題の獲得と実行に背内側線条体 (DMS)、背外側線条体 (DLS)、側坐核 (NAc)がどのように関与するかを脳領域破壊実験により解析し、学習を媒介する脳領域のシフトのプロセスを解析する。本年度は、特に、刺激弁別学習の獲得と実行におけるNacシェルとコアの役割を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学については、抑制性光受容体の発現を実現し、化学遺伝学についてはDREADD系の受容体の発現を実現した。また、刺激弁別学習の獲得と実行プロセスの解析についてぇあ、DLS, DMSの役割に加えて、Nacシェル、コアがどのようにこれらの過程に関与するかに取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、細胞種特異的な遺伝子発現システムを利用して、遺伝子改変ラットにおいて線条体の直接路・間接路細胞を同定し、刺激弁別課題中の特定神経細胞の活動を記録する実験系をセットアップする。Tac1-Cre、D2R-Creラットに、ウィルスベクターを注入し、組み換え反応を介して、細胞タイプ特異的にチャネルロドプシン遺伝子の発現を誘導する。レーザー刺激により活性化する神経細胞を同定し、課題遂行中の活動を記録する。化学遺伝学による経路選択的な活動制御のために、昆虫フェロモン依存性の活動亢進技術を応用し、線条体の直接路・間接路細胞の選択的活性化の技術を確立する。また、線虫抑制性イオンチャネルを用いた選択的リガンドに依存する活動抑制系の開発も行う。これらの実験系を構築するために、昆虫フェロモン受容体あるいは線虫イオンチャネル遺伝子を発現するレポーターラット系統を開発し、上記のTac-1-Cre、D2R-Creラットと交配する。二重トランスジェニックラットにおいて細胞タイプ特異的な受容体遺伝子の発現を確認し、選択的リガンドによる細胞活動の変化を測定し、活動変化に基づく刺激弁別行動への影響を解析する準備を行う。学習プロセスにおける回路の遷移に関わる神経機構を解明するために、大脳皮質―基底核ループ回路に着目し、平成27年度までに、背内側線条体 (DMS)、背外側線条体 (DLS)、側坐核 (NAc)のシェル、コアの役割を解析してきたが、本年度は、NAc全体を破壊した際に生ずる行動課題への影響を解析する。また、学習プロセスの過程で起こる脳内の機能シフトの動態を把握するために、陽電子放射断層撮影法 (positron emission tomography; PET) を用いて脳活動の時間依存的な変化を解析する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Causal link between the cortico-rubral pathway and functional recovery through forced impaired limb use in rats with stroke.2016
Author(s)
Ishida, A., Isa, K., Umeda, T., Kobayashi, K., Kobayashi, K., Hida, H., and Isa, T.
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Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 36
Pages: 455-467
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Double virus vector infection to the prefrontal network of the macaque brain.2015
Author(s)
Oguchi, M., Okajima, M., Tanaka, S., Koizumi, M., Kikusui, T., Ichihara, N., Kato, S., Kobayashi, K., and Sakagami, M.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0132825
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Differential contribution of Ih to the integration of excitatory synaptic inputs in substantia nigra pars compacta and ventral tegmental area dopaminergic neurons.2015
Author(s)
Masi, A., Narducci, R., Resta, F., Carbone, C., Kobayashi, K., and Mannaioni, G.
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Journal Title
Eur. J. Neurosci.
Volume: 42
Pages: 2699-2706
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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