2014 Fiscal Year Annual Research Report
情動・注意の制御に関わる大脳皮質間神経回路の適応動態
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
26112009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
筒井 健一郎 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (90396466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泰羅 雅登 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50179397)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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Keywords | 遅延反応課題 / サル / 注意 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルが8方向の遅延反応課題遂行中に、経頭蓋磁気刺激を、前頭連合野背外側部(DLPFC)、運動前野(PMC)、後頭頂皮質(PPC)のいずれかに片側性に片側性に施してその機能を阻害したときに、それによって誘発される行動の変化を分析した。DLPFC を阻害すると、体側視野のボタンがターゲットになったときに遅延時間依存的に成績が低下したので、視空間性の短期記憶に関わっていることが示唆された。一方、PMC を阻害すると、刺激と体側の手を使ったときに遅延時間依存的に成績が低下したことから、運動性の短期記憶(将来の運動計画の保持)に関わっていることが示唆された。さらに、PPC をす阻害すると、刺激と対側のボタンがターゲットで、それに対して体側の手(すなわち磁気刺激と同側の手)を使ったときに限り、成績の低下が認められ、視空間情報と運動情報の統合に関わっていることが示唆された。このように、DLPFC、PMC、PPC が、遅延反応課題の遂行のために異なる機能を持ち、相互に連携しながら、空間的注意や短期記憶の機能を実現していることが明らかになった。 伊佐班の協力により、大規模記録を行うための ECOG 電極を設計し、1頭のサルへにインプラントを行った。長期間にわたり、良好な記録が得られること、TMSとの同時記録が可能なことなど、技術的な課題を達成していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
サル大脳皮質各領域の空間的な注意・短期記憶機能への関わりをしらべるTMS実験は、予想を上回る成果が得られ、成果を発表するための論文を執筆している。情動機能をTMSで調べる実験の準備も順調に進んでいる。また、ECOG 記録については、すでに技術的な検証が終了し、本格的な記録を始められる状態になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
注意・短期記憶機能については、ECOG 記録を行い、大規模神経回路動態の分析を行う。情動機能については、TMSによる情動変化を行動課題で評価するとともに、同時に脳活動を ECoG や fMRI で記録するための準備を進める。
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