2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
26113005
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中川 真一 国立研究開発法人理化学研究所, 中川RNA生物学研究室, 准主任研究員 (50324679)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | ノンコーディングRNA / パラスペックル / Neat1 / 超解像顕微鏡 / 核内構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Neat1は核内構造体パラスペックルの骨格因子として働いているノンコーディングRNAである。これまでにNeat1の異なる領域を認識するプローブを用いて蛍光in situハイブリダイゼーションを行い超解像顕微鏡を用いた観察を行ったところ、パラスペックルはNeat1の5'及び3'領域を外側に、中心部分を内側に持つコアーシェル構造を持っていることが明らかとなっていた。そこで、パラスペックルを構成するタンパク質成分とNeat1の二重染色を行ったところ、これらはコア領域に局在する成分、シェル領域に局在する成分、コアとシェルにパッチを形成する成分に分けられることが明らかとなった。 次に、パラスペックル構成タンパク質の一つであるFusを欠損する細胞を用いて、超解像顕微鏡を用いた観察を行った。Fusを欠損する細胞においては、パラスペックルの数が激変するものの、通常の顕微鏡を用いた観察では小さいながらもパラスペックル様の構造体が観察された。ところが、超解像顕微鏡を用いた観察では、これらのパラスペックル様構造体はコアーシェル構造を持たず、転写サイトに集積したRNAがランダムな複合体を形成していることが分かった。この結果、FusはNeat1が形成するRNA-タンパク質複合体を、規則正しい構造を持ったパラスペックルに組み上げるために必要であることが分かった。 これまでにパラスペックルを構成する新規RNA成分を同定するためにNeat1複合体をCHARTと呼ばれる手法によって精製し、得られたRNAを次世代シークセンサーを用いて解析した結果、AG配列に富むRNAが濃縮されてくることが分かっていた。これらのRNAの局在を蛍光in situハイブリダイゼーションを用いて解析した結果パラスペックルのシェル領域に局在しており、パラスペックルはAG配列に富むRNAを吸着する性質があることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超解像顕微鏡を用いた解析によって、当初予定していた通り、この顕微鏡が核内構造体の観察に適していることが明らかとなりつつある。特に、Fusを欠損する細胞が持つパラスペックル様構造体は通常の顕微鏡を用いた観察では正常なパラスペックルと全く見分けがつかないことが知られていたが、これらがパラスペックルに特長的なコアーシェル構造を持たないことがわかった点は特筆に値する。今後、癌細胞やウイルス感染細胞などの様々な条件下で形成されたパラスペックルを超解像顕微鏡で観察することによって、一見正常なパラスペックルが実は異常な構造体を持っていることがわかるかもしれない。実験は順調に進んでいるものの、当初の計画を大幅に上回るような結果はまだ出ていないので、当初の計画以上に進展しているとまでは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
超解像顕微鏡を用いた解析では順調に結果が出ているので、そのほかの長鎖ノンコーディングRNAにも観察対象を広げ、核内構造体の微細構造解析をさらに詳細に進めていく。 Neat1の作動エレメントが同定されつつあるので、それらを特異的に改変したマウスを作成し、その表現形を調べる実験も同時に進めてゆく。
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