2017 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of noncoding RNAs in nervous systems
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
26113006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
影山 裕二 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (90335480)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 長鎖ノンコーディングRNA / ショウジョウバエ / 中枢神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度より引き続き、長鎖ノンコーディングRNAをコードするlobe-less(lol)遺伝子について解析を行った。CRIPR-Cas9システムによるゲノム編集技術を用いて、lolプロモーター領域を欠いたノックアウト系統を計4種作成した。また、4.25 kb のlobe-less被転写領域を含む、5.4 kbあるいは10.5 kbのゲノム領域を欠失させ、その代わりにPax6エンハンサー下でRFP ORFを発現するノックイン系統を作成した。これらのノックアウトおよびノックイン系統は、LOL RNAを発現しないにもかかわらず、約2割の個体が弱い表現型を示すのみであり、lol欠失系統(lolを含む約30 kbのゲノム領域の欠失)の表現型は、lol遺伝子座の近傍の領域にも原因があると考えられた。lolの宿主遺伝子であるCG9650の発現がlol変異系統で低下することから、CRIPSR-Cas9技術を用いてCG9650ノックアウト系統を作成した。その結果、CG9650ノックアウト系統は劣勢致死性を示した。興味深いことに、CG9650とlol欠失染色体とをヘテロに持つ個体(lol +/+ CG9650)では、約8割の個体でlol表現型が観察された。これらの結果から、lol欠失系統の表現型は、lolのすぐ近傍にあるCG9650の発現低下が大きな原因の一つになっていると考えられた。一方、lol欠失系統の表現型はlolの過剰発現により回復することから、lol 領域はCG9650のcis配列(エンハンサー)として機能するのではなく、trans因子として機能していることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画は以下の通りである。 (1) ショウジョウバエ Lobe-less RNA と遺伝学的に相互作用する因子のスクリーニング (2) Lobe-less RNA と物理的に相互作用する因子の同定 (3) Lobe-less RNA の作動エレメントの同定 (4) 高次神経機能を制御する lncRNA タクソンの確立 研究計画の中心課題であるlobe-less遺伝子の機能について、近傍の遺伝子との相互作用を示唆する結果を得たため、詳細な解析を行った。研究計画とは若干異なる方向性ではあるが、lobe-less遺伝子の遺伝子機能の根幹に関わる部分でもあるため、当初の予定を変更し、その詳細について検討を加えた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画のうち、「(3) Lobe-less RNA の作動エレメントの同定 」、「(4) 高次神経機能を制御する lncRNA タクソンの確立 」を中心に研究を推進する。28年度は以下の研究を行う予定である。 a.(3)に関して、Lobe-less RNAの機能ドメインに関する解析を行う。Lobe-less RNA が進化的に保存された配列を欠失した系統や、保存された配列のみを含むトランスジーン系統を確立しており、その解析を進める予定である。 b. (4)に関して、lobe-less変異体を用いてクロマチン免疫沈降/次世代シークエンス法(ChIP-seq)によるクロマチン動態の解析を行う。
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