2015 Fiscal Year Annual Research Report
ニッチ-幹細胞相互作用による造血系抗老化システムの解明
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
26115005
|
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
田久保 圭誉 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 生体恒常性プロジェクト長 (50502788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 直子 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50275195)
|
Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
|
Keywords | 造血幹細胞 / ニッチ / 老化 / 巨核球 |
Outline of Annual Research Achievements |
体性幹細胞は、ニッチと呼ばれる微小環境によって維持されることで自己複製能と多分化能を維持する。ニッチは細胞成分であるニッチ細胞と、各種のサイトカインや接着分子、酸素分圧などのニッチ因子によって構成される。加齢によってニッチの機能やニッチ因子 の発現異常が起こり、幹細胞支持能が低下して幹細胞システムに異常が発生すると考えられているが、そのメカニズムは不明である。哺乳類成体の造血の場である骨髄は、多種多様な細胞が混在する複雑な組織であり、複数のニッチ細胞を介して造血幹細胞が若年時か ら加齢時まで維持されていくと考えられている。造血システムは体性幹細胞の解析モデル系として最良のもののひとつであることから、本研究計画ではこれらの解析を行う。本年度は、血小板を産生する分化血球細胞・巨核球が造血幹細胞の細胞周期を抑制するニッチ細胞として機能することを見出した。巨核球は造血幹細胞へサイトカイン・トロンボポエチンを供給することで細胞周期の静止期を維持させる。トロンボポエチンの巨核球における発現は、巨核球上のC型レクチン・CLEC-2と下流のシグナルによって正に制御されることも見出した。これはニッチ細胞が造血幹細胞を維持する特性を獲得するためのシグナルカスケードと考えられた。また、細胞分裂は造血幹細胞に細胞老化を誘導する原因となると考えられるため、本知見は造血幹細胞の抗老化戦略の一つであると考えられた。特に、巨核球は造血幹細胞から分化して産生されるため、分化細胞動態が造血幹細胞へとフィードバック制御を行う「分化細胞ニッチ」のステムセルエイジングにおける重要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属機関異動に伴う動物コロニーの再構築がほぼ完了し、全体的には当初予定通りに進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物コロニーの再構築と、加齢動物の安定した供給システムを確立することができたため、計画に沿いつつ領域内の共同研究を利活用しながら研究推進を図る。
|