2016 Fiscal Year Annual Research Report
ニッチ-幹細胞相互作用による造血系抗老化システムの解明
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
26115005
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
田久保 圭誉 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 生体恒常性プロジェクト長 (50502788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 直子 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 教授 (50275195)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / ニッチ / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
体性幹細胞は、ニッチと呼ばれる微小環境によって維持されることで自己複製能と多分化能を維持する。ニッチは細胞成分であるニッチ細胞と、各種のサイトカインや接着分子、酸素分圧などのニッチ因子によって構成される。加齢によってニッチの機能やニッチ因子の発現異常が起こり、幹細胞支持能が低下して幹細胞システムに異常が発生すると考えられているが、そのメカニズムは不明である。典型的な体性幹細胞である造血幹細胞の加齢変化(造血幹細胞エイジング)のメカニズムについては不明な点が多く残されている。また、造血幹細胞ニッチの加齢変化についてもその分子機構を含めて未解明な点が多い。本研究計画ではこれらの造血幹細胞とそのニッチをモデルとして、体性幹細胞のエイジングの分子機構を明らかにすることを目指して研究を進めている。本年度は造血幹細胞のエイジング誘導シグナルとして考えられてきたp38MAPKシグナルの機能を解明するべく、造血系で主に発現しているアイソザイム・p38alphaのコンディショナルノックアウトマウスモデルを用いた厳密な検証を行った。その結果、p38alphaを欠損した造血幹細胞は急性ストレスに対して適切なタイミングで分裂することができずに脆弱であることを見出した。メカニズムとしてはストレスを受けた造血幹細胞においてp38alphaは転写因子Mitfを介してプリン体生合成経路の律速酵素であるImpdh2の発現を誘導して、その結果プリン体代謝を活性化することで増殖を可能としていることが明らかとなった。これらの実績は造血幹細胞エイジングの既存のモデルを修正し、代謝プログラムによる造血幹細胞のストレス応答を明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実に解析を進行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はp38alpha欠損が正常加齢ストレスや早老症モデルに及ぼす効果も含めて計画を推進する予定である。
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[Journal Article] p38α Activates Purine Metabolism to Initiate Hematopoietic Stem/Progenitor Cell Cycling in Response to Stress.2016
Author(s)
Karigane D, Kobayashi H, Morikawa T, Ootomo Y, Sakai M, Nagamatsu G, Kubota Y, Goda N, Matsumoto M, Nishimura EK, Soga T, Otsu K, Suematsu M, Okamoto S, Suda T, Takubo K.
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Journal Title
Cell Stem Cell
Volume: 19
Pages: 192-204
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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