2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development and application of tRNA ribosome profiling technology
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
26116004
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (40321781)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 翻訳 / リボソーム / tRNA / mRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、同時tRNA/mRNAリボソームプロファイリング手法のさらなる検証と応用実験を行った。ヒスチジン枯渇や翻訳開始抑制剤であるハリントーニン、翻訳伸長抑制剤であるピューロマイシンで処理した出芽酵母を用いて、同時tRNA/mRNAリボソームプロファイリングを行ったところ、それぞれ、実験前から予想した結果を得ることができ、tRNA/mRNAリボソームプロファイリング手法の有効性を示した。また、tRNAの修飾酵素の遺伝子欠損株を用いて同時tRNA/mRNAリボソームプロファイリングを行った。その結果、いくつかの遺伝子欠損株では、tRNAがリボソーム内に取りま込まれる頻度が減少したことから、それらの修飾はtRNAのリボソーム内への取り込みを促進させていることが明らかになった。また、翻訳の忠実性に関して、同時tRNA/mRNAリボソームプロファイリングを用いて各種遺伝子欠損株の解析を行ったところ、この手法から翻訳の忠実性に関する新たな知見が得られることが判明した。また、精神・神経変性疾患モデルの神経細胞について、平成29年度はさらなる翻訳解析を行った。その結果、精神障害に広く関わるDISC1が樹状突起や40Sリボソームサブユニットと同じ画分に多く存在すること、翻訳開始を促進させる役割を持つことを神経細胞や培養細胞を用いた翻訳実験などから明らかにした。また、その神経刺激に依存した翻訳開始促進機能は、DISC1が凝集することによって低下し、それは社会性の欠如などの精神障害をもたらすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
tRNA/mRNA同時リボソームプロファイリング法を開発し、それを酵母の翻訳解析に応用することで新たな翻訳阻害機構を見出すとともに、前頭側頭葉変性症モデルマウスにおいて神経細胞の樹状突起における局所翻訳機能の低下を明らかにし、それが精神障害をもたらすことを見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
出芽酵母を用いて同時tRNA/mRNAリボソームプロファイリングを行い、コドンの特異性に関する実験を行う。また、神経細胞において引き続き、DISC1の機能解析を行い、特に、どのようなmRNAやtRNAがDISC1と結合しているかを明らかにすることで、DISC1のもつ翻訳機能をより詳しく解析する予定である。
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