2015 Fiscal Year Annual Research Report
新生鎖テイルアンカー型タンパク質(TA)の輸送・膜挿入と品質管理
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
26116007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤木 幸夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任教授 (70261237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 茂彦 九州大学, 基幹教育院, 教授 (90236753)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 新生鎖 / テイルアンカー型タンパク質 / オルガネラ選別輸送 / 膜挿入機構 / 品質管理機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
テイルアンカー型タンパク質(TA) は、分子内C末端に1つ存在する膜貫通領域により脂質膜にアンカーされる膜タンパク質である。リボゾームで翻訳されたTAは広く知られた翻訳共輸送によらず、サイトゾルから各オルガネラ膜へ直接輸送される。TAの翻訳後輸送は各々の局在先によって異なる分子機構を必要とすることが見出されつつある。従って、TAの運命決定はリボソームでの新生鎖翻訳時およびその直後から品質管理を含めた形で実行されると考えられているが、その分子機構は不明な点が多い。本研究では、TAをモデルとしたリボソーム翻訳時における新生鎖の運命決定機構の分子機構を解明することを目的としている。 H27年度は、前年度までに確立していた無細胞翻訳系と中性条件下でのSDS-PAGEを組み合わせて翻訳途上の新生鎖TAを検出する実験系を用いて、膜貫通ドメインを含むC末領域を改変したPex26pなど種々のペルオキシソーム局在性モデルTAの翻訳速度解析を行った。翻訳速度遅延に関わるアミノ酸配列を見出し、C末膜貫通領域からその配列の相対的位置がペルオキシソーム局在性を決定する要素の一つであることを明らかにしつつある。また、Pex19pの共存下でペルオキシソーム局在性TAの免疫沈降および質量分析による解析を行い、この複合体に特異的に結合するサイトゾルタンパク質を同定した。このタンパク質がペルオキシソーム局在性TAを特異的に認識する可能性を想定し、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生鎖TAの認識機構について、確立した翻訳途上の新生鎖TAを検出する実験系を用いて、ペルオキシソーム局在性モデルTAの翻訳速度と細胞内局在の関連性を明らかにしつつある。また、新生鎖TAのオルガネラ選別輸送の解明に関しても、Pex19pと複合体を形成した状態のペルオキシソームTAタンパク質に特異的に結合するタンパク質を同定できた。このタンパク質は小胞体局在性TAを認識するBag6複合体と対抗してペルオキシソーム標的化に機能する可能性が考えられ、翻訳直後におけるTAの輸送標的化の選別の分子機構を明らかにする上で新規かつ重要な発見と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
膜貫通ドメインを含むC末領域を改変した種々のペルオキシソーム局在性モデルTA、および各オルガネラ局在性TA を用いて、C末膜貫通ドメインに含まれる局在化シグナルの認識、加えて翻訳速度の調節や新生鎖のフォールディングを含めたタンパク質の品質保証システムなどの分子機構解明を目指す。新生鎖TAの認識および翻訳速度調節を伴う品質管理システムを明らかにするため、改変型ペルオキシソーム局在性モデルTAのBag6複合体およびPex19pとの結合、in vivoにおける改変型モデルTAの細胞内局在およびタンパク質安定性の解析を統合的に行う。また、H27年度の研究により同定したペルオキシソーム局在性TAとPex19pの複合体に特異的に結合するサイトゾルタンパク質に関して、動物培養細胞を用いたin vivoでの結合実験やsiRNAを用いたノックダウン実験、上記無細胞翻訳系などを駆使して、新生鎖TAのペルオキシソーム輸送およびTA の運命決定における役割を解明する。
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Research Products
(24 results)