2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Cognitive Interaction Design: A Model-Based Understanding of Communication and its Application to Artifact Design |
Project/Area Number |
26118002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 一博 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60262101)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 勇剛 静岡大学, 情報学部, 教授 (00333500)
峯松 信明 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90273333)
大本 義正 京都大学, 情報学研究科, 助教 (90511775)
|
Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
|
Keywords | 認知科学 / 人工知能 / ヒューマンインタフェース / コミュニケーション / 社会系心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の3つの研究を実施した. 【研究1】コミュニケーション場の成立に関わる他者の情動状態推定に関する研究:相手に対する情動的な内部状態に基づく主体感の距離と位置関係の動的な変化を伴う原初的なインタラクションに注目し,各個体のコミュニケーション場の成立欲求を推定するための認知モデルのプロトタイプを構築した.具体的には,コミュニケーション開始場面における内部状態(2変数)と身体配置・向きを対応付ける効用関数を定義し,実験により得られた人の行動変化をその効用値の変化により説明できることを示した. 【研究2】コミュニケーションを通した他者の価値選好推定に関する研究 【研究2-1】対面販売状況における顧客の意図推定を可能にする他者モデルの分析:旅行代理店の店員が顧客の要望を聞き出して旅行プランを提案する際の対話を分析し,提案したプランに顧客が感じた魅力度を店員が予測可能なことを示した.特に経歴の長い店員ほどそのような予測を正確に行えることを明らかにした.さらに,旅行提案中に表出された顧客の非言語行動からプランに対する満足度を統計的に予測可能なことを示した. 【研究2-2】非母語コミュニケーションを対象とした訛りに起因するミス・コミュニケーションの分析と訛りに対する選好度の自動計測:非母語発声に起因する聞き取り難さ(嫌悪感)を,その発声に対する発音スコアではなく,聞き手の反応を観測することで推定する方法を検討した.具体的には,外国語学習者の音声をその言語の母語聴取者にシャドーさせ,そのシャドーの崩れを,聞き取り難さとする手法を検討した.実験の結果,聴取者に主観的にスコア付けさせた「聞き取り難さ」は,聞かせた学習者音声に対する発音スコアよりも,母語聴取者のシャドー音声のスコアと高い相関を示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目1,2-1,2-2のいずれにおいても,当初予定していた実験を順調に実施し,分析やモデル化も進んでいる.研究成果の発表も順調に行われている.そのため,上記のように判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
以下を実施する予定である. 【研究1】コミュニケーション場の成立に関わる他者の情動状態推定に関する研究:相手に対する情動的な内部状態に基づく主体感の距離と位置関係の動的な変化を伴う原初的なインタラクションに注目し,シンボリックな情報を排除した環境で観察された人同士のインタラクションの状態(互恵的状態,接触忌避的状態など)の推移を,2つの変数(他者に対して自ら作用する態度と他者の作用を受け入れる態度)をもつ認知モデルにより説明する.それにより,行動からの他者の会話欲求の推定と,互いに不快に感じないインタラクションデザインを実現する. 【研究2】コミュニケーションを通した他者の価値選好推定に関する研究 【研究2-1】対面販売状況における顧客の意図推定を可能にする他者モデルの分析:旅行代理店の店員が顧客の要望を聞き出してプランを提案する際の対話を分析し,各旅行提案に対する顧客の選好と,提案を行っているときの店員・顧客の言語情報および非言語情報との関係を解析する.特に,実験で観察された言語・非言語情報により定義されるインタラクション状態の時間的な推移をHidden Markov Modelにより分析することで,上手くいった対話といかなかった対話の違いを検討し,インタラクションの成否に与える言語・非言語情報の時間的な推移の影響を明らかにする. 【研究2-2】非母語コミュニケーションを対象とした訛りに起因するミス・コミュニケーションの分析と訛りに対する選好度の自動計測:非母語コミュニケーションを対象とし,訛りに起因する「聞き取りにくさ」を,母語聴取者のシャドーイングを通して定量的かつ客観的に計測する.シャドーイング音声の崩れを,深層学習ベースの音声認識技術を使って定量化し,また,顔の表情筋の動きを計測するなど,多角的な観点から「聴き取りにくさ」を客観的に定量化する.
|
Research Products
(15 results)