2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Cognitive Interaction Design: A Model-Based Understanding of Communication and its Application to Artifact Design |
Project/Area Number |
26118006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 倫太 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60348828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 哲雄 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (40343389)
篠沢 一彦 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 研究員 (80395160)
大澤 博隆 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 助教 (10589641)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | ヒューマンエージェントインタラクション / 他者モデル / 今性 / 相互適応 / 人工物 / インタラクションデザイン / ヒューマンロボットインタラクション / 環境知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、インタラクションを三階層に分け、階層間の連携の観点から研究を行った。人と人工物間のインタラクションに今性を持たせる階層、人と人工物がお互いに心的状態を読み合う層、人と人工物が知識や言葉を用いてインタラクションする層に分け、それらの層間の連携方法を明らかにする。 具体的には、二対のロボットの視線の同時性行動が創り出す今性の効果の検証、ウェアラブルロボットの装着位置と、ロボットに対して人が持つ他者モデルの関係の研究、コミュニケーション中の人の視線の動きを補助するデバイスの研究、搭乗型の自律走行車と搭乗者間の同調に関する研究を行った。二体のロボットの研究では、二体が同時に視線を向けると、容易に視線誘導されることが明らかになった。ウェアラブルロボットの研究では、人の体の上でロボットが居る位置に応じて、人が持つ他者モデルが変化することが明らかになった。人の視線の動きを補助するデバイスの研究では、視覚障害者へ適応し、コミュニケーション中の視線の振る舞いの一部を補助できた。また、搭乗型自律走行車の研究では、心拍を用いて搭乗者が無意識に感じる走行時の緊張感に同調して動く自律走行車を構築した。 また、高次のインタラクションの層と、心的状態を読み合うインタラクションの層と、今性のあるインタラクションの層の連携に関する研究として、マイグレートエージェントの研究、人狼ゲームの推論機構の研究、プロジェクタロボットの研究を行った。マイグレートエージェントの研究では、BDI理論に基づき、様々な機器に移動してサービスを行うエージェントを構築した。人狼の研究では、簡易化された言葉のやりとりモデルの中で、相手の役割が判明する条件について分析を行った。また、プロジェクタロボットの研究では、小学校でロボットの会話内容をデザインする実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度まで、研究を推進するにあたって人とインタラクションする人工物のモデルを、身体化モデル、エージェントモデル、環境モデルに分け研究を行っていた。人工物のタイプ毎に3つに分けずとも説明可能な統一的モデルが研究を推進する中で明らかになってきたので、平成27年度では、人と人工物間のインタラクションに今性を持たせる階層、人と人工物がお互いに心的状態を読み合う層、人と人工物が知識や言葉を用いてインタラクションする層に分け、それらの層間の連携方法というモデルを想定し研究を行った。3つの層の連携の観点から、人と人工物のインタラクションの研究を進めることで、人と対面でインタラクションする人工物、人が搭乗する形の人工物、環境中の様々な機器に移動してサービスを行う人工物の関係や違いを整理することが可能になったのは大きな進展である。 特に、インタラクションにおける今性は、人とインタラクションする様々なタイプの人工物にとって基盤となることが明らかになりつつある。今性とは、相手が実時間で反応することで、相手と同じ時刻に同じ環境を共有している感覚を人に持たせることである。遠隔テレビ会議で時間遅れがある場合や、音声対話ロボットが、認識処理中に動作を停止してしまう場合などに、今性が欠如したインタラクションの不十分さが露呈する。27年度では、2体ロボットの同時性行動、ウェアラブルロボットの身体への接触感、視線補助デバイスの視線による反応性、自律走行への心拍によるフィードバック、マイグレートエージェントの移動機構、プロジェクタロボットの映像による素早い反射行動によって、人と人工物の今性を担保し、相手の心的状態を読み合うインタラクションの実現に踏み出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、人と人工物が心的状態を読み合いタスクを遂行したりサービスの授受に必要となる最小の今性の要素を、人工物のタイプ毎に明らかにする。また、他班と連携することで、人や動物のモデルから、今性と、心的状態を読み合う過程や高次のインタラクションとの関係のデザイン方法を模索する。 特に、二体ロボットの同時性、ウェアラブルロボット、プロジェクタロボットの研究から、対面型エージェントに必要な今性の層と心的状態の層、高次コミュニケーションの層の関係を明らかにし、デザイン指針を作る。特に、対面型エージェントでは、視線の動きが重要であり、視線の動きを中心に3層の間の関係を探る。さらに、人の視線の動きを補助するデバイスを用いることで、人の視線の動きのみを研究成果のモデルでコントロールし、有効性を検討していく予定である。 人が搭乗する搭乗型のエージェントは、自律走行車と人の同調の観点から研究を行っていく。人と自律走行車の同調方法と、人が走行車に対してどのようなモデルを持つのかを探る。同調方法に関しては、27年度に開発した心拍を用いる方法以外に、人の姿勢や視線を用いていく予定である。 言語を用いた高次コミュニケーションに関しては、マイグレートエージェントおよび人狼プレイヤの研究によって明らかにしていく。マイグレートエージェントに関しては、機器を移動したさいのインタラクションの一貫性を維持する最小限の情報を、知識モデルの観点から研究する。特に、BDIモデルに従って可能世界をシミュレートすることで人から信頼感を得られるエージェントを構築する。また、人狼プレーヤも可能世界をベースにシミューレトすることで他者の心的状態の推測を試みる。記号処理によるインタラクションおよび、身体的な関わりの中で発生する今性のあるインタラクションの連携方法を模索し、インタラクションの3層を包括したモデルを探る予定である。
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Research Products
(15 results)