2002 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解赤外高分解能分光による紫外光解離中間体の構造決定
Project/Area Number |
00J00736
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
疋田 利秀 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 紫外光解離 / 赤外ダイオードレーザー分光 / 時間分解分光 / ミリ波分化 / 超微細相互作用 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、CoCOラジカルの高分解能分光研究を行った。昨年度の赤外ダイオードレーザー分光の結果から、CoCOラジカルのν_1バンドのスピン成分の1つであるΩ=5/2スピン成分のスペクトルが帰属され、電子基底状態がX^2Δ_iと決定された。このときは、ν_2(CoCO変角)、ν_3(CoC伸縮)振動励起状態からのホットバンドも観測されたが、Ω=5/2スピン成分のみしか観測されておらず、平衡回転定数B_eはΩ=5/2スピン状態の実効的な定数のみしか決定できなかった。しかし、ν_1基本音のもう1つのスピン成分であるΩ=3/2成分を帰属できたので、それらの解析からX^2Δ_i状態の真の平衡回転定数B_eを4435.588(51)MHzと決定することができた。 また、ミリ波分光を用いてCoCOラジカルのX^2Δ_i状態のΩ=3/2成分の純回転スペクトルを観測することができた。CoCOラジカルは、自由空間セル中に流したCo(CO)_3NOを193nmの紫外光で光解離することで生成した。260〜305GHzの領域でΩ=3/2成分の純回転遷移5本、Ω=5/2成分の純回転遷移2本を観測した。昨年測定し、報告した超音速ジェット中で観測されたΩ=5/2成分の純回転遷移7本と同時解析することで回転定数B、遠心力歪定数Dに加え、核スピン軌道相互作用定数a=627.9(12)MHz、フェルミ接触相互作用定数b_F=-1.0(17)MHz、磁気双極子相互作用定数c=-970.6(60)MHz、核四極子相互作用定数eQq=-131.3(21)MHzを決定した。これらの定数の値から、CoCOラジカルのHOMOはCo原子の3d_δ軌道の性質を強く残しているということがわかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Tanaka, Y.Tachikawa, K.Sakaguchi, T.Hikida, T.Tanaka: "Time-resolved infrared diode laser spectroscopy of the ν_3 band of the jet-cooled Fe(CO)_2 radical produced by ultraviolet photolysis of Fe(CO)_5"Journal of Chemical Physics. 111. 3970-3977 (1999)