2002 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエル卵の受精におけるMosの翻訳停止機構の解析
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00J00761
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上野 秀一 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1) (80363092)
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Keywords | 受精 / ツメガエル / 翻訳抑制 / Mos / EDEN / AUUUA |
Research Abstract |
Mos mRNAは約2000bpという非常に長い3'非翻訳領域(3'UTR)を持っている。その3'UTRを部分欠失等により変異させた様々なMos mRNAを用いて、ツメガエル卵の受精前後での翻訳量の変化を調べた。その結果、受精における(母性)Mos mRNAの翻訳抑制には3'UTR内のEDEN(embryo deadenylation element : UGもしくはUAの繰り返し)配列とAUUUA配列の両方が必要かつ十分であることが分かった。また、Mos mRNAのPoly(A)の長さは両配列があるときのみに十分に短縮されることが分かった。興味深いことに、この両配列のMosの翻訳抑制における機能は過去の報告とはいくつかの大きな相違点があった。 第一に、これまではEDEN配列単独でmRNAの翻訳抑制ができるとされていたが、Mos mRNAにおいてはEDEN単独で翻訳抑制はできないことが分かった。第二に、これまでは重複して配置された複数のAUUUA配列だけが翻訳抑制に関与するとされてきた。ところが、Mos mRNAでは3'UTR内に分散して存在する(単独の)AUUUA配列だけでも翻訳抑制に関与し、かつEDENとの組み合わせを必要とすることが分かった。更に、この翻訳抑制機構はMos mRNAに限定されたものではなく、類似した配列を持つ母性Eg2 mRNAの3'UTRでも同様に機能することも示した。また、EDENはトランスに働く蛋白質を通して機能するが、AUUUA配列はそのような蛋白質なしに機能することを示唆した。これらの結果から、受精における母性mRNAの翻訳調節において、分散して(または単独で)配置されたAUUUA配列でも他の配列(EDEN)と協調して翻訳制御を行う分子機構が存在することを初めて示すことができた。 以上の結果は、Developmental Biology誌(2002. 250. 156-167)に発表した。
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