2002 Fiscal Year Annual Research Report
高秩序高分子ナノ組織体における光機能プロセスの基礎解析
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00J06267
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 淳 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Langmuir-Blodgett膜 / ナノデバイス / 論理演算素子 / 光誘起電子移動 |
Research Abstract |
本研究では高分子Langmuir-Blodgett(LB)膜を分子素子への応用が可能な材料ととらえ、その基礎的性質に関して検討を行っている。高分子LB膜は分子レベルでの積層体の構築であるため様々な機能を有する薄膜を順次積層することにより新規な機能発現が期待できる。そこで今年度はヘテロ積層体を用いた光機能素子の作製を試みた。 前年度までの研究結果より優れた高分子LB膜を示しかつ膜厚が1nmと非常に薄いために層間の相互作用が起こりやすいtert-ペンチルアクリルアミド(tPA)またはneo-ペンチルメタクリルアミド(nPMA)をベースとして用い、芳香族色素としてピレン、フェナンスレンおよびアントラセンを共重合により導入した高分子p(tPA/PyMA),p(tPA/Phen),p(nPMA/AMMA)を合成した。また電子ドナー性を有するジメチルアニリン(DMA)、アクセプター性を有するジニトロベンゼン(DNB)を有する高分子p(tPA/DMA)、p(tPA/DNB)合成した。これらすべての高分子は水面上で安定な単分子膜を形成しLB法により基板に転写することが可能であった。そこで芳香族LB膜と電子ドナー、アクセプターLB膜との光誘起電子移動を応用した、光スイッチング素子、光駆動型論理演算素子の作製を試みた。 1.光スイッチング素子;p(tPA/PyMA),p(tPA/DMA),p(tPA/DNB)のヘテロ積層膜を銀基板上に作製し、ピレンの励起にともなうヘテロ積層膜の光学的変化を利用することにより、銀の表面プラズモンを励起している光の強度をコントロールすることができた。プラズモンの解析よりこれはヘテロ膜において形成されたラジカル種がプラズモン励起波長において吸収を示すためであることが示唆された。 2.光駆動型論理演算素子;フェナンスレンとアントラセンの励起波長を入力信号、p(tPA/Phen)とp(tPA/DNB)層間およびp(nPMA/AMMA)とp(tPA/DMA)層間での光誘起電子移動にともなう光電流を出力信号とした新規な光駆動型AND論理回路、EXOR論理回路を提案し作製を試みた。AND論理ではHighとLowの出力が約3倍離れた素子を作製することに成功した。また電流値の絶対値を出力としたEXOR論理回路ではHighとLowの出力が100倍以上離れた素子を作製することができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jun Matsui, Masaya Mitsuishi, Tokuji Miyashita: "A Study on Fluorescence Behavior of Pyrene at the Interface of Polymer Langmuir-Blodgett Films"The Journal of Physical Chemistry B. 106. 2468 (2002)
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[Publications] Jun Matsui, Masaya Mitsuishi, Atsushi Aoki, Tokuji Miyashita: "Optical Logic Operation Based on Polymer Langmuir-Blodgett Film Assembly"Angewandte Chemie International Edition. (accepted).