1989 Fiscal Year Annual Research Report
発がんプロモーター及び抗プロモーター化合物のコンピュータ分子設計と構造活性相関
Project/Area Number |
01015014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板井 昭子 東京大学, 薬学部, 助手 (60012647)
|
Keywords | コンピュータ / コンピュータ・グラフィックス / 分子設計 / 構造活性相関 / 発がんプロモーター |
Research Abstract |
当研究者はコンピュータを用いた論理的な構造活性相関と分子設計の新しい方法論とソフトウェアの開発を行ってきた。薬物ー受容体相互作用に基づく論理的な分子重ね合わせを人間の主観が入らないように自動化することによって、TPAタイプの発がんプロモーター化合物(テレオシジン、TPA、アプリシアトキシン)の構造と活性の関係を説明することを目的として本研究を行った。 これまで物理的化学的性質についての重ね合わせの良さの指標を実時間で計算しつつ、三次元グラフィックス上で分子を回転・並進・結合回転させて会話的に指標のよい重ね合わせを得てきた。プロモーター化合物では既に、この手法により合理的な重ね合わせモデルを得ているが、それ以上のモデルが存在しないという保証がない。そこで試行錯誤や先入観なしにすべての可能性を考慮して、その中から定量的に最良の重ね合わせを選ぶための機能を開発した。 官能基が多数あったり、コンフォメーションの自由度がある複数の分子の重ね合わせ方は無数にある。そこで可能なコンフォメーションを自動的に発生させ、その一つずつについて分子間での官能基の対応の組を自動的に作り出した後、受容体に予想される水素結合原子の位置を一致させる最小自乗法によって2つの分子を重ね合わせることを可能にした。テレオシジンとTPA分子では約27万通り、テレオシジンとアプリシアトキシンでは42万通りの組合せが自動的に網羅されて調べられた。それらを様々な物理的化学的性質によって定量的に順位づけし、先入観なしに最良の重ね合わせを選ぶことができた。その結果は既に発表済みのものと一致した。この自動化機能は、一般的に、化学構造が著しく異なる活性化合物の重ね合わせに、定量性と再現性を与え、可能性の網羅を実現するとともに、画期的に省力化するものである。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Akiko Itai: "Stereochemistry of Nーmethylbenzanilide and Benzanilide" Tetrahedron Letters. 30. 6177-6180 (1989)
-
[Publications] Nobuo Tomioka: "The refined crystal structure of the complex formed by bovine trypsin and pーguanidinobenzoate at 2.06A resolution" FEBS LETTERS. 258. 153-155 (1989)
-
[Publications] Yoshiharu Toriumi: "Crystallographic Studies on RetinoidalーActive andーInactive Aromatic Anilides" J.Organic Chemistry. 55. 259-263 (1990)