1989 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変による多剤耐性を担うMDR蛋白の機能と解析と耐性克服への応用
Project/Area Number |
01015052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 和光 京都大学, 農学部, 助手 (10151789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 好章 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00182593)
駒野 徹 京都大学, 農学部, 教授 (30026413)
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Keywords | 多剤耐性 / MDR1遺伝子 / Pー糖蛋白質 / 遺伝子改変 / 癌 / 融合蛋白 / 発現制御 / 酵母内発現 |
Research Abstract |
ヒトMDR1遺伝子は、培養細胞の多剤耐性を担っているだけでなく、腎臓癌などにおける自然耐性や獲得性多剤耐性に関係していることが解明されつつある。耐性を克服するためには、この現象へのMDRI遺伝子の関与をさらに明らかにするとともに、MDR1遺伝子のコードするPー糖蛋白質の機能を解明すること、MDR1遺伝子の発現制御機構を解明することが必要である。そのために本年度は次のことを行なった。 1.種々の欠失および挿入変異によって改変したMDR1遺伝子を、ヒト、マウス培養細胞で発現させた。C末端20アミノ酸を欠失させると細胞を耐性にする活性が非常に減少した。また前半半分だけあるいは後半半分だけでもPー糖蛋白質は機能しなかった。Pー糖蛋白質が薬剤運搬ポンプとして機能するためには分子内重複をした完全な構造が必要であることが示唆された。 2.前半後半それぞれ半分を酵母内で発現させた結果、アジドピンは主に後半に結合する基礎的結果を得た。 3.ヒト副腎より新たに単離したPー糖蛋白質cDNAは、コルヒチン選別多剤耐性細胞から単離したcDNAと比べて2つのアミノ酸置換を持っていた。前半に位置する185番のアミノ酸置換は、コルヒチンに対する耐性度を大きく変化させた。この部位が薬剤認識に関与していることが示唆された。 4.さらに機能の解明を進めるため、MDR1遺伝子とbetaーガラクトシダーゼ遺伝子を融合させ酵母内で誘導発現させることによって種々の改変Pー糖蛋白質精製を試みた。 5.ヒト正常組織から発現制御部位を単離し構造解析した結果、ストレス誘導遺伝子に存在する配列が存在することがわかった。この配列の役割およびMDR1遺伝子の発現制御の解析を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Noriyuki Kioka: "P-glycoprotein gene(MDR1)cDNA from human adrenal" Biochem.Biophys.Res.Commun.162. 224-231 (1989)
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[Publications] Kazumitsu Ueda: "Detection of multidrug resistance(MDR1)gene RNA exprossion in human tumors by a sensitive ribonuclease protection assay" Jpn.J.Cancer Res.80. 1127-1132 (1989)
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[Publications] Lor;J.Goldstein: "Expression of the multidrug resistance,MDR1,gene in neuroblastomas" J.Clin.Oncol.8. 128-136 (1990)
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[Publications] Stephan J.Currier: "Deletion and insertion mutants of the multidrug transporter" J.Biol.Chem.264. 14376-14381 (1989)
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[Publications] 植田和光: "多剤耐性遺伝子MDR1とその発現機構" 細胞工学. 9. 96-104 (1990)