1989 Fiscal Year Annual Research Report
Transgenic mouseを用いた発癌の組織特異性に関する研究
Project/Area Number |
01015089
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山村 研一 熊本大学, 医学部, 教授 (90115197)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 文 熊本大学, 医学部, 助手 (40136213)
宮崎 純一 熊本大学, 医学部, 助教授 (10200156)
|
Keywords | トランスジェニックマウス / 悪性リンパ腫 / 癌遺伝子 / myc遺伝子 / B型肝炎ウイルス / 肝炎 |
Research Abstract |
リンパ球系の腫瘍発生に関与しうる遺伝的背景が存在するのかどうかを解析するため、免疫グロブリンH鎖エンハンサー(Emu)によって活性化されたmyc遺伝子(Emuーmyc)を2つの異なった近交系マウス、すなわちC57BL/6マウスとC3Hマウスに導入しトランスジェニックマウスを作製した。用いたEmuーmyc遺伝子も、完全なmyc遺伝子を含むもの(Emuーmyc)とプロモーターと第1エクソンを欠いているEmuーDELTAmycを準備した。作製したトランスジェニックマウスの解析から、発症年令はどちらの遺伝子を用いても生後4〜8週であり、従って近交系では発症が早く、交雑系やクローズドコロニーでは発症が遅くなることが分かった。また、C57BL/6マウスではBリンパ腫が、C3HマウスではTリンパ腫が多発することを明らかにしていたが、これは導入した遺伝子発現の違いによるのではなく、リンパ球の育つ環境によって決定されることが分かった。即ちC57BL/6由来のリンパ球であってもC3Hマウスの個体内で育つとTリンパ腫が発生しやすくなることが分かった。 昨年度迄に、B型肝炎ウイルス(HBV)による肝炎・肝癌の発症機構を明らかにするため、HBVを肝で複製しうるトランスジェニックマウスの作製に成功していた。このマウスにおいてウイルス粒子が形成されマウス血中に分泌されているかどうかを電顕的に解析したところ、約42nmのDane粒子が血中に存在することが分かった。更に、この粒子がヒト胎児肝細胞に感染しうるかどうかを解析したところ、感染しHBs抗原を作り出すことが分かった。ウイルスを産生しているマウスにおいて、肝炎等が生じるかどうかを生後2年近くまで解析しているが、全く肝細胞には障害がおこっていないことが明らかとなった。このことは、肝炎が免疫学的機序に基づいておこっていることを示唆している。
|
-
[Publications] Araki,K.et al.: "Expression and replication of hepatitis B virus genome in transgenic mice" Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86. 207-211 (1989)
-
[Publications] Araki,K.et al.: "Demethylation by 5-azacytidine results in the expression of hepatitis B virus surface antigen in transgenic mice" Jpn.J.Cancer Res.80. 295-298 (1989)
-
[Publications] Suematsu,S.et al.: "IgG1 plasmacytosis in interleukin 6 transgenic mice" Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86. 7547-7551 (1989)
-
[Publications] Yukawa,K.et al.: "Strain dependency of B and T lymphoma development in immunoglobulin heavy chain enhance (Eu)ーmyc transgenic mice" J.Exp.Med.170. 711-726 (1989)
-
[Publications] Yamamura,K.and Araki,K.: "Transgenic mice as tools in the study of HBVーrelated liver diseases" Cell Struct.Function. 14. 509-513 (1989)