1989 Fiscal Year Annual Research Report
がんのprogression過程における上皮・間葉間の認識制御機構に関する研究
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01015092
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
榎本 克彦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20151988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 淳夫 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90208538)
森 道夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00045288)
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Keywords | 初代培養肝細胞 / 血管内皮細胞 / 上皮・間葉相互作用 / 分化 / 培養肝癌細胞 |
Research Abstract |
がんのプログレッション過程における上皮と間葉の相互作用を明らかにする目的で、肝発癌の系を用いcoーculture法により実験を行なった。コラゲナーゼ灌流法によって得られたラット初代培養肝細胞(10^5個/dish)をウシ動脈由来の内皮細胞(10^3個/dish)と一緒に、10%FCSを含むWilliamsE培地でcoーcultureした。培養肝細胞間には、内皮細胞と接触することによって24時間以内に多数の毛細胆管様(BC)構造の出現が認められた。一方、肝細胞単独培養では24時間を経過しても少数のBC構造がみられるのみであった。ヒト肝癌細胞(HuH7)と内皮細胞とのcoーcultureでは、長期培養後も肝癌細胞にはBC構造の出現は認められなかった。しかし、内皮細胞はcoーculture1週目位から著明な増殖を示し、また、紡錘状の形態変化も認められた。このような内皮細胞の増殖と形態変化は、肝癌細胞の培養上清添加では誘導されず、接触因子の関与が考えられた。 以上の結果から、正常培養肝細胞は血管内皮細胞との接触により、速やかに分化(極性)が誘導され、それが長期間維持されることが示された。しかし、肝癌細胞は内皮細胞によるこのような分化誘導には反応せず、逆に内皮細胞の増殖を促進することがわかった。このことは、正常肝組織では、肝細胞と内皮細胞の相互作用により分化が維持されているが、癌化の過程でこのような相互作用に異常が起こり、癌組織では血管内皮細胞の増殖など癌細胞の増殖に適した間質環境が誘導されている可能性を示唆している。 現在、毛細胆管に対するモノクローナル抗体やアルブシン、AFPなどのcDNAを用い、内皮細胞による肝細胞分化の制御について研究を進めている。また肝癌細胞の内皮細胞増殖因子についても検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamasaki,H.,Enomoto,K.,Fitzgerald,D.J.et al.: "Role of intercellular communication in the control of critical gene expression during multistage carcinogenesis." IARC Scientific Publication,No.92. 57-75 (1988)
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[Publications] 185. 292-296 (1989)
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[Publications] Takahashi,H.,Enomoto,K.,Nakajima,Y.and Mori,M: "High sensitivity of the LEC rat liver to the carcinogenic effect of diethyl nitrosamine." Cancer Letters,in press.
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[Publications] Sawaki,M.,Enomoto,K.,Takahashi,H.et al.: "Phenotypic changes of preneoplastic and neoplastic lesions during sponteneous liver carcinogenesis of LEC rat." Manuscript,in preparation.
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[Publications] 榎本克彦、他: "発癌と局所因子" Medical Immunology,.
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[Publications] 榎本克彦、他: "細胞のがん化" からだの科学.