1992 Fiscal Year Annual Research Report
転移抑制と宿主免疫能賦活の相加作用を有する新抗腫瘍性生薬成分の探索
Project/Area Number |
01015106
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
山口 宣夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10106916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越村 三郎 金沢大学, 医学部, 名誉教授 (10019854)
清水 昌寿 金沢医科大, 医学部, 講師 (30150759)
藤川 孝三郎 金沢医科大, 医学部, 助教授 (20139786)
甲野 裕之 金沢医科大, 医学部, 助手 (20221236)
太田 隆英 金沢医科大, 医学部, 助手 (10152141)
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Keywords | がん / 大食細胞 / 感染防御 / 増殖抑制 / がん免疫 / BRM / 生薬 / CTL |
Research Abstract |
担癌生体が癌細胞に対する特異的免疫を獲得している事は周知の事実となっている。しかし、通常担癌生体内ではその免疫能が有効に発揮されないのに加えて非特異的免疫能力、即ち種々の微生物に対する抵抗力も低下している事が指摘されている。また末期癌患者の直接死因の約半数が感染症であるという統計結果がこれを裏付けている。 我々の研究の特色は、上記の様な作用を兼備するだけのものではなくその投与方法が注射に留まらず、経口的に投与しても作用を発揮し得る新制がん剤の選択を目指している点である。生薬を50mg/kg/匹・1日置きに経口より投与し、実験群とした。更に、マウスリンパ腫(EL-4)移植後3日と5日目にサイクロフォスファミド(CPA)を化学療法剤として併用した群と生薬単独治療群を設定した。ILS値(Increase of Life Span)が有効と判定された生薬は、地黄・黄耆・蒼〓の3種であった。有効なILS値を示した生薬群では、一旦局所で増殖した腫瘍が退縮した個体(15匹中8匹)や生存日数が10箇月以上生存し、完全治癒が示唆される個体も認められた(15匹中5匹)。生薬の構造活性相関を探る為、地黄を生薬学的に異なる処置を施し(生地黄、乾地黄そして熟地黄)、前記同様に試験した。その結果、生地黄に最も強い活性が示された。又、実験群宿主のリンパ器官より有核細胞を試験管内に取り出し、抗腫瘍エフェクター細胞の同定を試みる為、標的細胞であるEL-4細胞を ^<125>I-Iridine含有メディウムで培養して標識した。大食細胞とB細胞は設定したどの細胞比に於ても。腫瘍細胞破壊活性を示さなかったが、T細胞(サイトトキシックT)に腫瘍細胞破壊活性が認められた。 以上の成績より、経口投与によって有効な宿主介在性抗腫瘍作用を示した生薬は臨床応用の面に試供する事が可能であり、がん患者の延命、或いはQOLの改善に繋がる事が期待される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yamaguchi,N.: "Augmentation of various immune reactivities of tumor-bearing hosts with an extract of cordyceps sinensis." Biotherapy. 12. 199-205 (1990)
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[Publications] 太田 隆英,中野 隆 他: "Lewis lung carcinoma(3LL)の高肺転移株の樹立とその細胞生物学的性質について" 金医大誌. 15. 238-248 (1990)
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[Publications] Ota,T.,Fujukawa-Yamamoto,K.,Kohno,H.,et al.: "Induction of phenotypic reverse transformation by ginsenosides in cultured cancer cells." Korean J.Ginseng Sci.14. 238-243 (1990)
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[Publications] 藤川 孝三郎 他: "コルセミドに対する培養細胞の応答相違性とc-mycタンパク質との関係" フローサイトメトリー. 10. 86-91 (1990)
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[Publications] 山口 宣夫: "漢方研究のあゆみ" 漢方研究のあゆみ. 9. 14-21 (192)
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[Publications] 山口 宣夫 他: "担癌宿主の抗腫瘍作用と頃特異的免疫能に及ぼす漢方製剤の影響" Biotherapy. 12. 1840-1849 (1991)
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[Publications] 山口 宣夫: "21世紀の外科治療と漢方" JAMA(日本語版), 2 (1990)
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[Publications] Fujikawa-Yamamoto,K.,et al.: "“Flow Cytometry and Image Analysis for Clinical Applications"§Self-consistent cell cycle analysis and application to Blooml syndrome fibroblasts." Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam, 5 (1991)