1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01041058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
スマ、FODE ギニア科学局, 局長
中川 尚史 京都大学, 霊長類研究所, 学術振興会 特別研究 (70212082)
大沢 秀行 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60027498)
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60111986)
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Keywords | 社会行動 / 単雄群 / 複雄群 / 父親判定 / 離合集散 / 採食集団 / 道具使用 / DNA多型分析 |
Research Abstract |
乾燥地であるカメル-ン北端のカラマルエでは、パタスザルとミドリザルについて乾季の採食・社会行動の調査をおこなった。これによって乾季・雨季の資料がそろい、同所的に生息する両種の採食レパ-トリの差から利用植生と土地の差が生じ、単雄群と複雄群という社会構造の大差にいたるメカニズムが一部明らかになった。また、単雄群では理論的には群内の唯一の成雄がすべての子供の父親であるはずだが、現実にそれが実現されていない可能性も強く、父子を判定するために特定群の大部分の個体を一時捕護して、小量の血液を採取した。採取血液は霊長類研究所に持ち帰り、父親判定をおこなう(分析は平成3年度)。 一方、準多雨林とニ次林を主とするギニアのボッソウでは、大型類人猿であるチンパンジ-の採食戦略を通じて、その特異な社会構造と文化的行動である道具使用行動についての資料を収集した。すなわち、体が大きく、かつ食物選択性の強いチンパンジ-にとって大きな食物供給土地を必要とするにもかかわらず、単位面積当りの果実や若葉が同時に供に、離合集散を常習的に行なって採食集団も小型化する社会構造をつく給する食物量は、サル類から予想されるよりはるかに少なく、このために、離合集散を常習的に行なって採食集団も小型化する社会構造をつくっていると考えた。このような観点からチンパンジ-群のコアエリア(頻繁に利用する地域)を2ないし3の大食物パッチに分け、さらにその中の個々の食物パッチ(大果樹や小さな林)の利用頻度と個体数(個体名)を分析する(平成3年度)。 さらに、ボッソウのチンパンジ-に特異的な道具使用行動であるハンマ-(石)使用によるアブラヤシの種子割りの技術(石や種子の選択、叩き数と消費エネルギ-を含む)を長時間VTRに収録したので、これを上記の観点から分析する(平成3年度)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松沢 哲郎: "野生チンパンジ-の石器使用" 発達. 46. (1991)
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[Publications] Sakura,O.他: "Flexibility of wild chimpanzee nutーcracking behavior:Using stone hammers and anvils:an Experimental Analysis" Ethology. 32. ). 02%33 (1991)
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[Publications] Matsuzawa,T.他: "Case report on the death of a wild chimpanzee(Pan trogrodytes verus)" Primates. 31. 635-641 (1990)
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[Publications] 松沢 哲郎 他: "ヒトとチンパンジ-の比較認知科学" 科学. 61. 155-164 (1991)