1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01041073
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新田 栄治 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (00117532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
チャリット チャイクンチ コンケン大学, 人文・社会科学部, 講師
ポーンチャイ スチッタ シルハ゜コーン大学, 考古学部, 講師
シーサック ウ゛ァリボート シルハ゜コーン大学, 考古学部, 準教授
西谷 大 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (50218161)
大貫 静夫 東京大学, 文学部, 助手 (70169184)
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Keywords | 製塩 / 古代産業 / 森林破壊 / 東北タイ / 塩 |
Research Abstract |
ナコンラチャシマ県ブアヤイ郡バンニュウマイ村所在のノントウンピ-ポン遺跡の発掘を実施した。この遺跡は南北120m,東西75m,高さ6mの丘状の遺跡である。南斜面にトレンチを設定して丘頂部から基底部に至るまで発掘した。その結果、多数の製塩遺構を検出した。これらの製塩遺構には、水源から採鹹の際に必要な水を運んで貯蔵するための粘土壁と粘土床とをもった貯水槽、濃い塩水を取るための粘土壁と粘土床とをもった採鹹施設とがセットになって検出されたほか、鹹水を煮沸して塩の結晶を得るための煎熬炉が2基、作業従事者の休憩処跡の柱穴などがあった。これらの遺構の形態は、最上層で発見されたものと、最下層で発見されたものとに差がまったくない。製塩遺構は10層にわたって検出された。また「ピマイ黒色土器土器」も遺構に伴った、層位の上下から出土している。これらのことから、本遺跡の発掘地点は採鹹を中心とする場所であり、その活動の時期は紀元後1世紀ないしは2世紀以降にあり、10年あまりという短期間で遺丘が形成されたことが推定できた。出土遺物は製塩土器がほとんどである。直径20ー30cm、深さ15cm程度の丸底のボウル形をした叩き技法によって作られた粗製土器である。 この遺跡における製塩方法は次のように復原できる。粘土で貯水槽、採鹹装置を作る。採鹹装置の底には籾殻や植物の長い葉を敷き、外部の穴に通じる竹管を挿入する。製塩施設周囲に広がる塩華の浮いた土をかき集め、採鹹装置の中に入れる。貯水槽から水を汲み、採鹹装置に注ぐ。すると土に付いた塩分が水に溶け、鹹水となって外部の穴に流れ出る。この鹹水を煎熬炉で煮沸し、塩を得た。 このようにして東北タイで生産された塩は周辺地域に輸出され、東北タイの繁栄の経済的基盤となった。
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[Publications] 新田 栄治: "Archaeological study on the ancient ironsmelting and saltーmaking industries in the northeast of Thailand." 東南アジア考古学会会報. 11. 1-46 (1991)
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[Publications] 新田 栄治: "東南アジア考古学からみた先史産業と環境" 文明と環境. 3. 31-35 (1991)
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[Publications] 新田 栄治: "東北タイ先史時代生産遺跡の発掘調査プロジェクトーノンヤン遺跡とバンドンプロン遺跡ー" 東南アジア研究. 29ー2. 227-232 (1991)
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[Publications] 新田 栄治: "古代東北タイの産業と社会変動ー塩と鉄とノンヤン遺跡ー" 月刊しにか. 1ー9. 46-47 (1990)
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[Publications] 新田 栄治: "鉄・塩・銅鼓のア-ケオコスモス" 文明のクロスロ-ドMuseum Kyushu.