1990 Fiscal Year Annual Research Report
社会・経済的諸条件の変化に対するアフリカ小農の反応
Project/Area Number |
01041082
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢内原 勝 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (40051057)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
UDO R.K. イバダン大学, 社会科学部, 教授
池谷 和信 北海道大学, 文学部, 助手 (10211723)
坂本 邦彦 尚美学園短期大学, 一般教育, 講師 (20215643)
境田 清隆 東北大学, 理学部, 助手 (10133927)
島田 周平 立教大学, 文学部, 教授 (90170943)
高梨 和紘 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (50051785)
|
Keywords | アフリカ小農 / 小農の経済行動 / アフリカの賃金雇用 / アフリカの中小企業 / ロ-カル・マ-ケット / 牧畜民の生業活動 |
Research Abstract |
ナイジェリアの農外就業の調査結果によれば、一部の開発計画地の換金稲作農民などの中には、都市部の賃金労働者よりも高い現金収入を得ている者がいるが、一般に都市部の低賃金労働者の賃金水準は、農村部の農民の現金収入の水準より高いことが判明した。経済的不況下においても、都市部での就業に人々が非常に強い意欲を持っている理由はこの点にあると思われる。 一方エビヤ村の調査結果では、80年代の経済不況の影響を受けて、新卒の若年層が潜在的失業者として滞留し始めている事が明らかになった。このことは、耕作形態の調査で明らかとなった農業の労働粗放化傾向とも関係している。農村に滞留している若者たちはいわば「賃金労働者の予備軍」であり、農業基幹労働力とはなっておらず、互助労働組織も弱体化していることが判明した。 ナイジェリア東部ゴンゴラ州における牧畜民ハウサ人の生業形態に関する予備調査では、彼らの経済活動に対する国民経済の変化の影響度が、農耕民のそれに比べ比較的弱いことが示された。 タンザニアの調査においては、企業家と工場従業員との出身地の関係、農村部におけるロ-カル・マ-ケットの役割、またそこにおける小売りと仲買人の関係について調査を行った。この結果、企業が、農村と都市との中間的位置を占め、マ-ケットが農民にとって重要な役割を担っていることが明らかとなった。 ザンビアの予備調査では、家計に占める牛の重要性が明らかとなるとともに、耕作と牧畜との有機的連関の欠如、家族内紐帯の弱さ、賃金雇用機会の極端な不足等、ナイジェリアでみられる状況と極めて対照的な現象が見られた。これは、経済的変動に対する農民の対応に仕方の違いを予想させるものである。この点については次年度の調査によって明らかにしたい。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 矢内原 勝: "ナイジェリア・ザンビアの農業および都市・建設現場間の労働移動" 三山学会雑誌. (1991)
-
[Publications] 矢内原 勝: "アフリカ経済の現状と展望ー貧困・累積債務・構造調整ー" 世界経済評論. (2月号). 10-16 (1991)
-
[Publications] 高梨 和紘: "東アフリカにおける労使関係" 日本労働研究雑誌. 1990 2/3合併号. 74-80 (1990)
-
[Publications] 島田 周平・安食 和: "70年代以降のナイジェリア農村における農業経営の変化ーエビヤ村の事例を通してー" アフリカ研究. 37. 11-26 (1990)
-
[Publications] 島田 周平: "Economic change and labour migration in rural Nigeria" Geographicl Review of Japan. (1991)
-
[Publications] 池谷 和信: "ナイジェリア・フルベの移牧に関する政治生態学的分析" 地理学評論. (1991)