1990 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマ-型老年痴呆症の発症機序に関する分子遺伝学的研究
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01044018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小倉 久也 東北大学, 医学部, 教授 (20133936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TANI R.E. ハーバード大学, 医学部(米国), 助手
GUSELLA J.F. ハーバード大学, 医学部(米国), 助教授
阿部 康二 東北大学, 医学部, 助手 (20212540)
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Keywords | アミロイド遺伝子 / 熱ショック蛋白質 / Zinc finger遺伝子 |
Research Abstract |
アルツハイマ-病は記憶や学習の障害を呈する代表的痴呆疾患であるが、病理学的には、脳の海馬を中心とした神経細胞の消失およびアミロイド老人班などの出現を特微としている。海馬の特にCAI錐体細胞は、短時間の一過性脳虚血でも死滅しやすいことが知られており、我々は、この細胞群がこのような虚血などのストレスに対して、その障害を緩和し、正常な機能の回復を早める蛋白質(いわゆるストレス蛋白質、HSP)の産生能力において、他の細胞群より劣っていることを明らかにしてきた。 種々の遺伝子発現を調節する本質的な部分は、遺伝子発現調節因子(いわゆるtranscriptionfactor)の標的遺伝子へのbindingであるとされている。このような海馬における遺伝子発現調節機構の解明のために、まず始めにtranscription factorの一つであるzinc finger motifをcodeする遺伝子の発現をHSP遺伝子の発現との関連性を含めて検討した。その結果、zinc finger geneは正常脳で発現しており、更に脳虚血によって血流再開通一時間後をピ-クによ誘導された。これに対してHSP70 geneは正常脳で発現していないが、脳虚血によってzinc finger geneの誘導の後に、強く誘導された。この事実は、transcription factor geneが、HSPの誘導に関与している事実を示唆しており非常に興味深い。またヒト細胞を熱ショック刺激することにより、アミロイド遺伝子の誘導がみられることも明らかにした。この結果、アミロイド遺伝子発現における熱ショック反応の関与が明確となった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] P.H St.GeorgeーHyslp,K.Abe: "Genetic linkage studies suggest that Alzheimer's disease is not a single homogenous disonder" Nature. 347. 194-197 (1990)
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[Publications] Abe et al.: "Induction of zinc finger gene after transient ischemia in gerbil braun" Neurosci Lett. (1991)
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[Publications] Abe et al.: "Selectiue Induction of HSP70 mRNA in gerbil brain after ischemia" Stroke. 21. 164-164 (1990)
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[Publications] Abe et al.: "Induction of HSP70 gene after brain ischemia in gerbil." Neurosci.Lett.(1991)
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[Publications] Abe et al.: "Arachidoric acid metabolism in ischemic neuronal damage." Ann. NY Acad Sci.559. 259-268 (1989)
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[Publications] P.H St.GeorgeーHyslop,K.Abe: "Familial Aizheimer´s disease:progres and problems." Neurobil.Aging. 10. 417-425 (1989)