1990 Fiscal Year Annual Research Report
中国砂漠地帯における文化財保存のための自然環境に関する共同研究
Project/Area Number |
01044141
|
Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
三輪 嘉六 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 部長 (00222422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 陸郎 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (30000459)
門倉 武夫 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (10000457)
新井 英夫 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 室長 (00000456)
川野辺 渉 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 研究員 (00169749)
西浦 忠輝 東京国立文化財研究所, アジア文化財保存研究室, 室長 (20099922)
増田 勝彦 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 室長 (40099924)
|
Keywords | 中国 / 砂漠地帯 / 文化財保存 / 自然環境 / 機器計測 / 敦煌莫高窟 |
Research Abstract |
中国砂漠地帯の文化財として特に重要な敦煌莫高窟の環境条件、劣化状態について調査した。 自然環境については、昨年度までに第194(195)窟および第53(469)窟に設置した測定機器による温度、湿度、日照強度、積算日照量、窟外風速、窟内微風速、飛砂量について継続測定を行っている。現在までに得られた知見は次の通りである。 ○ 窟内外とも相対湿度は20%前後で大変乾燥しているが、窟内の方が温度、湿度とも変化が少なく安定している。窟内温度の日変化は1℃以下である。 ○ 崖最高部に位置する第194窟においては、雨が降ると窟内の温度が上昇する傾向が顕著であり、雨水の浸透が影響しているものと考えられる。 ○ 崖最低部にある第53窟につながっている側洞が第469窟であるが、第53窟との境を封鎖した状態では、温度、湿度とも極めて安定し、日変化はほとんどゼロである。年変化で見ると、第53窟の温度、湿度に追随して変化するが、この場合、湿度変化の方が温度変化よりもレスポンスが早い。これは、窟内湿度は岩体の水分量により変化していることを示唆するものである。 壁画の劣化状態調査については、第194窟、第53窟を中心に詳細な目視観察調査を行った。来年度は折出塩類等のサンプリングが可能となり、化学分析等により多くの新しい知見が得られるものと期待される。
|