1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01065004
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 彰正 東京大学, 理学部, 教授 (40030788)
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Keywords | テクネチウム / モリブデンの同位体存在比 / 隕鉄 / 二重ベ-タ壊変 / ジルコニウムー96 / ガンマ-過程 / 輝水鉛鉱 / レニウム・オスミウム年代測定法 |
Research Abstract |
次の三つの研究において、極めて画期的な成果を得た。 〔I〕地球化学的方法によるZrー96の二重β^ー壊変の研究とその発展。ジルコン(鉱物)中のMoの不純物を千分の1に減少させる事,又,表面電離に用いるフィラメントの表面を物理・化学的に処理し,さらに,Moの原子価状態を3価に制御する方法により,質量分析の際のMoのイオン化効率を10^3〜10^4倍向上させる事に成功。このようないくつかの独創的工夫の組合せにより,5.3gのジルコン鉱物に,わずか2.3ピコグラム含まれる,二重β壊変起源のMoー96の定量に世界で初めて成功。同時に,ジルコンの中に微量含まれるUの自発核分裂の結果生じたMoの同位体比も定量。得られた半減期は,3.9×10^<19>年で,地球化学的に求められた二重β壊変の半減期として3番目となった。今までの唯二つの成功例,Teー130とSeー82と異り,娘核種が金属元素である点で初めてである。得られた半減期は,二つの成功例の値と調和的で,壊変エネルギ-と半減期との間の相関が初めて判明。Moー98には,未知の過剰成分が含まれることが発見され,可能性の一つとして,テクネチウムー98の残存の可能性が浮上し,所期の主要課題への突破口となることが期待される。〔II〕隕鉄の中のMo同位体存在度の変動。元素合成を導いた,基本的な核合成のいくつかの要因の平均的混合率からの変異,すなわち,混合の不完全さを示唆する結果がMoについて得られた。隕鉄は宇宙科学的に二次的産物であり,この中に同位体比異常は見つからないはずであるという定説をくつがえした。シホ-テアリン隕鉄のある部分に,ガンマ-過程(光分解分果)を示す大きな同位体異常を発見,Tcとの接点も指摘できる。〔III〕ReーOsー年代測定法の信頼の回復。従来,モリブデナイト(鉱物)の年代測定は注目されながら,全く信用されていなかった。マイクロ波分解法等を利用して,問題を解決することに成功。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Masuda and Qi-Lu: "Peculiar isotopic abundance ratios of molybdenum in a specimen of the Sikhote-Alin iron meteorite" Proc:Japan Acad. 67B. 134-139 (1991)
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[Publications] A.Masuda and T.Hirata: "High coherence between the most refractory siderophile elements in metallic materials of mateorites" Proc.Japan Acad.67B. 72-77 (1991)
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[Publications] Qi-Lu and A.Masuda: "High accuracy measurement of isotope ratios of molybdenum in some terrestrial molybdenites" J.Am.Soc.Mass Spectrometry. 3. (1992)
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[Publications] Qi-Lu and A.Masuda: "Rapid,high-purity chemical separation of molybdenum from gram quantities of iron meteorites for isotopic analysis" Analyst. (1992)
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[Publications] K.Suzuki,Qi-Lu,H.Shimizu and A.Masuda: "Determination of Osmium Abundance in Molybdenite Mineral with Microwave Digestion Using Potassium Dichromate as Oxidizing Agent" Analyst.