1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01065005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 忠三 大阪大学, 医学部, 教授 (10093402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田賀 哲也 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (40192629)
審良 静男 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (50192919)
菊谷 仁 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (80161412)
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Keywords | インターロイキン6 / レセプター / 信号伝達 / タイロシンカイネース / MAPカイネース / ras / 転写因子 / NF-IL6 |
Research Abstract |
前年度までに我々が同定と単離を行ったIL-6の信号伝達蛋白gp130に関して、さらに詳細な解析を進めた結果、gp130は他の幾つかのサインカインのレセプター複合体の構成要素と成り得て、またそれらの信号伝達も担っていることが明らかとなった。すなわち我々の作製した抗gp130モノクローナル抗体は、IL-6のみならずleukemia inhibitory factor(LIF),oncostatin M(OM),ciliary neurotrophic factor(CNTF),IL-11の作用をも阻害することができた。この共通信号伝達蛋白としてのgp130の役割の証明は、サイトカインの大きな特徴である機能の重複性を説明することのできる画期的な成果であると言える。またILFやCNTFはコリン作動性ニューロンの分化を誘導する等神経細胞に対しても機能すること、またLIFやOMは胎児性幹細胞の維持に必須であることなどから、gp130は免疫・血液系のみならず脳神経系や初期発生においても信号伝達分子として重要な役割を果たしていることが判明した。 我々がこれまでに研究して来た転写因子NF-IL6に関しても本年度の主たる成果の一つが得られた。IL-6刺激はNF-IL6の修飾を誘導しNF-IL6の急性期蛋白遺伝子上流への結合を促すことにより同蛋白の発現を導く。IL-6刺激はgp130のホモダイマーの形成とそれに会合するタイロシンカイネースの活性化を誘導することが新たにわかった。一方NF-IL6分子はIL-6刺激により同分子中のMAPカイネースのコンセンサス配列の中のThr^<235>のリン酸化を導いた。また活性型ras遺伝子のco-transfectionはこのリン酸化を著明に促進すること、Thr^<235>への変異導入はNF-IL6の転写活性を消失させることも判明した。これらを総合するとgp130のホモダイマー化に伴うタイロシンカイネースの活性化が下流のRas-MAPカイネースのカスケードを活性化し、最終的にNF-IL6のThr^<235>のリン酸化により急性期蛋白遺伝子発現を促すことが明らかになった。
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[Publications] Kishimoto,T.,S.Akira,& T.Taga.: "Interleukin 6 and its receptor: A-paradigm for cytokines" Science. 258. 593-597 (1992)
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[Publications] Ip,N.Y.,S.Nye,T.G.Boulton,S.Davis,T.Taga,T.Kishimoto: "CNTF and LIF act on neuronal cells via shared signaling pathways that involve the IL-6 signal transducing receptor component gp130." Cell. 69. 1121-1132 (1992)
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[Publications] Taga,T.& T.Kishimoto: "Cytokine receptors and signal transduction." FASEB J.6. 3387-3396 (1992)
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[Publications] Taga,T.,M.Narazaki,K.Yasukawa,T.Saito,T.Kishimoto,et al.: "Functional inhivition of hematopoietic and neurotrophic cytokines by blocking IL-6-signal transducer gp130." Proc.Natl.Acad.Sci.,USA. 89. 10998-11001 (1992)
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[Publications] Yokota,A.,K.Yukawa,A.Yamamoto,T.Kishimoto,& H.Kikutani.: "Two forms of the low-affinity Fc receptor for IgE differentilly mediate endocytosis and phagocytosis:Identification of the critical cytoplasmic domains." Proc.Natl.Acad.Sci.,USA. 89. 5030-5034 (1992)
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[Publications] Nishio,Y.,H.Isshki,T.Kishimoto,& S.Akira.: "NF-IL6 and glucocorticoid receptor synergistically activate transcription of the rat l-acid glycoprotein gene via direct protein-protein interaction." Mol.Cell.Biol.13. 1854-1862 (1993)