1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01102043
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
三浦 靜 福井大学, 教育学部, 教授 (90020073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 伸治郎 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022538)
福井 卓雄 福井大学, 工学部, 講師 (30026299)
福原 輝幸 福井大学, 工学部, 助教授 (10156804)
荒井 克彦 福井大学, 工学部, 助教授 (00115289)
服部 勇 福井大学, 教育学部, 助教授 (60020111)
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Keywords | 越前海岸 / 国道 / 玉川 / 中新世 / 崖崩れ / オ-バハング / 大雨 / 海食崖 |
Research Abstract |
平成元年7月16日に発生した福井県越前海岸玉川の山崩れは、直下の国道305号線を走行中のマイクロバスを直撃し、15名の人命を奪った。この自然災害を地質学、地形学、気象学、工学の分野から総合的に調査・研究し、今後の防災に役立てるため、自然災害としての誘因・要因を把握することを目的とした。まず、今回の山崩れは、調査の結果、岩盤倒壊あるいは崖崩れと呼ぶほうが適切であることが判明した。災害直前まではかなりの降雨が認められたが、その量は、1年に1回は起こりうる程度であり、降雨が直接の主原因とは考えられない。地形学的には、崖崩れ発生地点は最近(第四紀)に著しく隆起したところであり、また、海食により、比高100mを越える急崖が形成されていたところであることも判明し、崖崩れの発生が予想できる環境にあった。地質学的には、この地域は比較的若い(中新世の)地層から構成されており、そのため、岩石自体が化学的にも力学的にも大変不安定であったことが解明された。また、急崖は今から6,000年前の海進時に造られたものであり、その際にオ-バハング状態になったことも判明した。岩石の力学的強度を検討したところ、岩石自体はかなりの強度を持ち、破壊するような応力は受けていなかったが、長時間のゆっくりした力にはほとんど抵抗しえないことが判明した。野外の観察と室内実験から、今回の崩落に至ったプロセスは次のようである。:6,000年前に海進があり、その時に急崖とオ-バハングが形成された。岩石は長周期の力には弱かったこと、化学的に不安定であったこと、節理が多数存在していたことなどに起因し、節理の1つが開口し、崩落寸前の状態が作られていた。災害直前の降雨により岩石強度の低下、岩石の重量の増加、などが引金になって、不安定な岩塊が崩壊した。玉川のような急崖が出現する地質学的環境も検討され、避けられないものであることが結論された。
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