1989 Fiscal Year Annual Research Report
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)院内感染対策に関する研究
Project/Area Number |
01102048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 寛伊 東京大学, 医学部・手術部(病), 助教授 (50010244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千種 弘章 三重大学, 医学部・救急部, 助教授 (50115713)
妙中 信之 大阪大学, 医学部・集中治療部, 講師 (10127243)
青木 泰子 筑波大学, 医学系, 講師 (80202480)
管野 治重 千葉大学, 医学部・検査部, 講師 (90125922)
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Keywords | 院内感染 / MRSA / 健康保菌者 / 細菌学的疫学調査 / コアグラ-ゼ型別 / エントロキシン型別 / ファ-ジ型別 |
Research Abstract |
現在、日本各地で猛威をふるっているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)院内感染は、医学が進歩したことによって増加した易感染患者に対する一種の日和見感染であり、健康人にはまず感染が成立せず、しかしながら、容易に鼻腔、咽頭な唱の健康保菌者を作り出し、これらの保菌者が、交差汚染の原因となることが1つの特徴である。従って、多発防止のための総合的対策が重要であり、このような実際的対策を確立するためには、医療従事者および患者のMRSA保菌状態と病院環境汚染状態に関する細菌学的疫学調査が不可欠である。 今年度の研究では各施設におけるMRSA分離状況の把握と、それらの抗生剤感受性、コアグラ-ゼ型別、エンテロトキシン型別、および代表的な株に関してのファ-ジ型別をこころみた。 このような細菌学的疫学調査と併せて、実際の感染防止対策に関する検討を重ねてきた。これらの対策の中で、手指を介しての交差汚染が大止めたりできる手洗い流しなどを含めた設備面の改善がおこなわれ、それらの結果の評価が待たれている。 健康保菌者対策として、現在日本で採用しうる薬剤はポビドンヨ-ドのみであり、これによる含嗽、軟膏の鼻腔内適応が唯一の対策である。必要に応じておこなった結果では、ほぼ2/3〜3/4には有効であったが、1/3〜1/4には問題を残した。この点は、欧米で有効とされている薬剤の導入も必要となる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小林寛伊: "院内感染とMRSA" 今日の感染症. 8-1. 6-9 (1989)
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[Publications] 小林寛伊: "MRSA" Medio. 6-2. 112-117 (1989)
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[Publications] 青木泰子: "-最近5年間の観察-MRSAの予防と観察" 外科. 51-11. 1241-1247 (1989)
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[Publications] 青木泰子: "Methicillin-resistant staphylococcus aureus(MRSA)による老人病棟内環境の汚染状況" 日本環境感染学会雑誌. 3-2. 29-37 (1989)
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[Publications] 妙中信之: "感染症の診断手技" 集中治療基本手技マニュアル. 297-300 (1989)