1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01301046
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Research Institution | Tohoku Univ. |
Principal Investigator |
寺田 隆信 東北大学, 文学部, 教授 (80004034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古畑 徹 金沢大学, 教養部, 助教授 (80199439)
千種 眞一 東北大学, 文学部, 助教授 (30125611)
諸戸 立雄 秋田大学, 教育学部, 教授 (20006521)
山田 勝芳 東北大学, 教養部, 教授 (20002553)
安田 二郎 東北大学, 文学部, 教授 (90036666)
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Keywords | 士人 / 士大夫 / 庶民 / 貴族 / 科挙 / 教育 |
Research Abstract |
当初の計画にもとづき、本年度は前年度にひきつヾいて資料の蒐集と整理を行うかたわら、研究成果のとりまとめにはいった。本年度もまた研究連絡の会議を開く予定であったが、主として研究代表者の都合によって、この企ては実行できなかった。この欠を補うため、分担者相互の連絡を密ならしめ、別冊報告書にみるような成果を収めることができた。秦漢時代以来、南北朝、唐、宋、元、明、清の各代にわたって、士人と庶民のあり方が明らかにされ、両者の関係にもふみこんだ見解が提示されている。とくに注目してよい成果としては、安田が、四世紀後半の門閥貴族体制確立後に江南へ移住してきた「晩渡の姓族」が、地域社会に定着し、その地の農民(庶人)層に対して再生産を確保するため、保護と指導につとめ、彼らの支持を集めて「望族」となり、新タイプの士人層の出現を促した事実を明らかにしたこと、寺田が、士人のあり方を通史的に概観し、士人の地位と身分が安定的なものではなく、中世の貴族などは例外として、個々の家族としては永績するものではなかったこと、士人の地位と身分とは、もっぱら学問と教養の保持いかんにかゝわる事実を明らかにした点をあげることができる。たゞ、資料的制約があって考察はもっぱら士人に重心がおかれる傾向があったが、寺田はこの欠点を補うため、士人はもとより、広く庶民の間にも好まれた賭博の研究に着手し、それをつうじて庶民の生活ぶりの一端を明らかにしようと試みた。また、寺田が千種の協力をえて進めていたHo Ping・tiの「Ladder of Success in Imperial Chinu」の翻訳は完成した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 寺田 隆信: "近世士人の讀書について" 新野・諸戸教授退官記念分史論集. 47-72 (1991)
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[Publications] 寺田 隆信: "清代北京的山西商人" 鄭天挺記念論文集. 561-582 (1990)
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[Publications] 安田 二郎: "〓太后の臨朝と謝安" 新野・諸戸教授退官記念分史論集. 97-124 (1991)
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[Publications] 山田 勝芳: "儒教の国教化" 片野達郎編『正統と異端』ー天皇・天・神ー論集(角川書店). 233-250 (1991)
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[Publications] 川合 安: "倭の五王時代の中国" 弘前大学国史研究. 88. 32-47 (1990)
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[Publications] 新宮 学: "明代の牙行について" 山根記念明代史論叢. 841-860 (1990)
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[Publications] 寺田 隆信・千種 眞一: "中華帝国における成功の階段" 平凡社, 400 (1991)