1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01301054
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
遠藤 好英 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (10086085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 喜代治 東北大学, 文学部, 名誉教授 (40004006)
鈴木 則郎 東北大学, 文学部, 教授 (30086087)
佐藤 武義 東北大学, 教養部, 教授 (80006428)
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Keywords | 記録語 / 漢字表記 / 和製漢語 / 訓読 / 注釈 |
Research Abstract |
本研究の内容は『吾妻鏡』の諸本の収集とその研究の二つになる。以下それぞれについて記す。 諸本の収集について、初年度末までに最大の目標であった吉川本をはじめ、次の諸本を集めることができた。北条本、寛文5年写仮名本東鏡、尊経閣文庫蔵巻子本(元暦元年)-以上写本。慶長古活字本、伏見本、寛永三年版-以上板本。加えて、東鑑異本考、吾妻鏡抜萃、東艦末(記)などをも収集でき、彰考館・三春歴史民族資料館・東北大学などで吾妻鏡ならびに関係資料の調査が行えた。 諸本の参照が可能となり、本文の吟味や読解により確実さを加えることができるようになった。初年度末までに終えた注釈と訓読文の作成は巻十一までと、巻十四の巻全体であり、原稿化をほぼ終えた。なお、今まで北条本を底本とした国史大系本によって読み進めてきた。このことに根本的な変更を加える必要は考えていないが、漢字の字体に関しては吉川本により新しい知見を得てきている。それによって、訓読文や注釈に再吟味の必要が生じたことも逸することはできない。その修正作業もすでに始められている。 研究については、本文の整備と訓読本の作成・注釈が主要な部分であるが、同時に注釈作業に伴って数々の問題が生じ、各研究分担者の専門分野に応じた整理やまとめも検討されてきている。たとえば、漢字について異体やあて字など字体や用字の問題、和語の漢字表記や語の読みや意味に関して和化漢語・和製漢語の問題がある。本文の事実に関して、地名の表記や読みの吟味もある。他に北条本・吉川本の関係を含めて、諸本の位置づけを明らかにすることや、研究がどのように行われてきたかを整理することも考えられてよい、などと当初の索引を作成するという目標に止まらず問題が多いと気付かされたこともまとめとして記す。
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[Publications] 遠藤好英: "『吾妻鏡』における漢字使用の背景-和語の漢字表記・同語の別表記例を中心に-" 宮城学院女子大学研究論文集. 71号. (1990)
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[Publications] 遠藤好英: "記録の漢字(『中世の漢字とことば』所収)" 漢字講座=6 佐藤喜代治編明治書院刊. 59-90 (1988)
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[Publications] 佐藤武義: "中世文化と唐音(『中世の漢字とことば』所収)" 漢字講座=6 佐藤喜代治編明治書院刊. 38-58 (1988)