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1990 Fiscal Year Annual Research Report

ベン・ジョンソン研究

Research Project

Project/Area Number 01301059
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

玉泉 八州男  東京工業大学, 工学部, 教授 (80016360)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 服部 隆一  東京工業大学, 工学部, 助教授 (70156355)
野崎 睦美  東京工業大学, 工学部, 教授 (70016632)
篠崎 実  東京工業大学, 工学部, 講師 (40170881)
新谷 忠彦  明治学院大学, 文学部, 教授 (00062183)
青木 信義  山梨大学, 教育学部, 教授 (80020311)
Keywords職業としての文学の誕生 / 国王ジェイムズの庇護 / 宮延劇の技法の影響 / 大衆と劇場の幾視 / 唯我論者の論理的帰結 / エリザベス朝への回帰
Research Abstract

ベン・ジョンソンは、文学によって階級を越えようとした最初のイギリス人である。あるいは、文学者という職業を確立した第一号といいかえてもよい。だが、一介の台本書きから桂冠侍人への道程は、決して平坦なものではなかった。そこには様々な人生の転機があった。その第一は生涯の師キャムデンとの出会いだろうが、法学院との接触、イロゴ・ジョ-ンズとの連携と破局も、彼を重踏的文学観へと誘い、文学者としての飛躍ないし硬化へと導いた要因として、決して無視することはできない。しかし、その後半生を考える時最大の事件は、国王ジェイムズの登場だろう。その庇護の下で30年近く宮延劇作家をつとめることで、彼は劇作家=詩人としての社会的認知をかちとる一方、自らの資質を矯め、「老化」へと追いこまれていくこととなるのである。
これは、長年携った宮延劇の技法の影響と世俗的野心の達成により、本来彼に備わっていた逸脱と抑制の絶妙なバランスが崩れたことを意味する。彼はその結果具体的なものの代わりにその普遍的姿を、優美かつ自然に描こうと勤める傍ら、歓喜反応の改制にも乗りだしていく。しかも、そうして彼のした自信作が不評だった時には、自らの文学の狭まりには気付かずに、己れの芸術を理解しえない大衆と劇場という媒体を呪うようになる。これにジョ-ンズとの喧嘩が加わると、彼はいつしか芸術擁護者にしてその敵という奇妙な立場を鮮明化する。唯我論者は、その論理的帰結ともいえる一匹狼になり果てたのである。
こういう彼の晩年の生ぎざまは、彼が権威主義者にして理想主義者だった事実とも関係する。かつてあれほど唾棄したエリザベス朝への回帰も、彼の反動性の敗北と切り離しては考えられぬ現象だろう。風習喜劇と明晰な言語というイギリス演劇最大の伝統を生みだしたジョンソンは、皮肉にも最後のメリ-・イングランダ-として生を閉じたのであった。

  • Research Products

    (7 results)

All Other

All Publications (7 results)

  • [Publications] 玉泉 八州男: "座付作者にとって演劇的伝統とは何か" シェイクスピアリア-ナ. 9. 24-51 (1989)

  • [Publications] 玉泉 八州男: "ベン・ジョンソンの出発ーあるいは文学の近代" 英語青年. Vol.137No.5. (1991)

  • [Publications] 篠崎 実: "詩人と神秘ー1620年代のジョンソン仮面劇をめぐって" 東京工業大学人文論叢. 第17号. (1991)

  • [Publications] 井出 新: "過渡期の黒債座ー少年劇団の音楽的娯楽とその継承ー" 津田塾大学言語文化研究室所報. 第4号. 52-71 (1989)

  • [Publications] 中野 春夫: "『ヘンリ-五世』の生成" ヘロン. 24. 9-33 (1990)

  • [Publications] 野崎 睦美: "エリザベス朝演劇論(チャ-ルズ朝のベン・ジョンソン)" 英宝社, (1991)

  • [Publications] 岡田 俊恵: "エリザベス朝演劇論(チャップマンの複眼的視覚)" 英宝社, (1991)

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Published: 1993-08-11   Modified: 2016-04-21  

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