1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01301064
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Research Institution | Faculty of Law, Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 武 北海道大学, 名誉教授 (20000648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 紫郎 東京大学, 法学部, 教授 (00009797)
村上 淳一 東京大学, 法学部, 教授 (80009795)
成瀬 治 成城大学, 文芸学部, 教授 (70011278)
山田 欣吾 一橋大学, 経済学部, 教授 (70017523)
小管 芳太郎 北海道大学, 法学部, 教授 (00000654)
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Keywords | 概念史 / 国制 / 学識法 / 刑事裁判 / 現行犯 / 当事者主導的な訴訟構造 / 身分制 / 法化 |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度でもあり、研究のまとめと総括が主たる仕事であった。そけは、本総合研究の研究分担者が執筆にあった「ドイツ近代法史事典」の、原稿をもとにして進られた。そこで取り上げられた問題としては、以下のものがある。「中世ドイツの国制」(西川)について、とりわけ、9世紀末から10世紀のいわゆる「部族太公領」に関して、エスニックな「部族」という捉え方に対して疑問が提出され、むしろ、メ-ロ-ヴィンガ-以来の分王国の枠組みが、フランスとの対比でも重要ではないかという点が指摘された。これは、一方ではエスニックな要素と、他方での普遍的な法的枠組みとの関連の問題であり、今後とも追求さるベきことが確認された。さらに、中世の国制と学識法との関係について、学識法の意義を、国王と諸侯とのレ-ン関係も含めて、法のタ-ムで説明し、議論することを可能にしたと説き、この両者の関係につき新たな視角を提供した。刑事裁判の問題について、石川は、ザクセンシュピ-ゲルを素材に、現行犯手続の重要性を、原告に誰でもなれることから身分の枠を越える契機があること、さらに、雪冤宣誓による無罪の証明の排除等といってことから、強調した。また、和田は、糾問手続の教会的起源(その目的は、原告を不要とする裁判、および、証言証拠の導入)およびその発展について論述した。とりわけ、自白の重要性から、糾問手続の導入にもかかわらず、当事者主導的な訴訟構造の保持が指摘された。その他に、「身分制」、「自然法的法典編纂」、「基本権」、「契約」、「ロ-マ法の継受」、「現代法」について、概念史的検討が加えられた。たとえば、身分の法的性格の強調等、総じて、「法化」の問題が論ぜられた。
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Research Products
(27 results)
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[Publications] 石川 武: "rechtlosであってechtlosでない者" 北大法学論集. 41巻5・6号. 143-185 (1991)
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[Publications] 石川 武: "母に優って生まれたーザクセンシュピ-ゲルにおける(各人生得の)法の承継についてー" 北大法学論集. 42巻2号. 83-93 (1991)
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[Publications] 石川 武: "中世法の規範構造を求めてー最終講義ー" 北大法学論集. 42巻3号. 126-154 (1992)
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[Publications] 石川 武: "中世法と近代法" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1992)
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[Publications] 小菅 芳太郎: "法学史上の古代末(「死後贈与」前史からの管見)(一)" 北大法学論集. 41巻5・6号. 123-142 (1991)
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[Publications] 佐藤 彰一: "隷属から一つの従属へーフランク王国における奴隷解放と解放自由人(6ー8世紀)ー" 長谷川博隆編『権力・知・日常ーーヨ-ロッパ史の現場へ』(名大出版会). 57-91 (1991)
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[Publications] 平城 照介: "「地代地域論」をめぐる若干の考察" 中央大学文学部紀要史学科. 36号. 135-179 (1991)
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[Publications] 西川 洋一: "初期中世のヨ-ロッパの法の性格に関する覚え書" 北大法学論集. 41巻5・6号. 29-121 (1991)
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[Publications] 西川 洋一: "「中世ドイツの国制」「ゲルマン法学・法史学・国制史学」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1992)
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[Publications] 西川 洋一: "(書評)世良晃志郎『西洋中世法の理念と現実』" 史学雑誌. 111-123 (1992)
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[Publications] 山田 欣吾: "教会から国家へー世俗化過程としてのヨ-ロッパ国家形成史ー" 山田欣吾『西用中世国制史の研究』(創文社). 101巻3号. (1992)
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[Publications] 山田 欣吾: "国王・大公・教会ーカロリンガ-後期からオット-ネン初期の国制をめぐってー" 山田欣吾『西洋中世国制史の研究』(創文社). (1992)
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[Publications] 山田 欣吾: "「叙任権闘争」とレガレアーパスカリス二世の特権状(1111年)を中心としてー" 山田欣吾『西洋中世国制史の研究』(創文社). (1992)
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[Publications] 成瀬 治: "ヨ-ゼフ二世の啓蒙" 海老沢他編『歴史の中のモ-ツァルト』(岩波書店). 63-84 (1991)
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[Publications] 成瀬 治: "「身分制」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1992)
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[Publications] 村上 淳一: "歴史と遇然" 国家学会雑誌. 80-102 (1991)
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[Publications] 村上 淳一: "近代化と合理主義・反合理主義" 北大法学論集. 104巻9・10号. 1-27 (1991)
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[Publications] 村上 淳一: "「市民社会と市民法」「所有権」「経済法」「現代法」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). 41巻5・6号. (1992)
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[Publications] 小川 浩三: "グラ-ティア-ヌス教令集のconsuetudo in scriptis redacta" 北大法学論集. 187-216 (1991)
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[Publications] 小川 浩三: "「ロ-マ法の継受」「契約」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). 41巻5・6号. (1992)
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[Publications] 石部 雅亮: "サヴィニ-の司法試験改革案とその背景(二)" 法学雑誌. 37巻4号. 1-27 (1991)
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[Publications] 石部 雅亮: "「自然法的諸法典」「法人格・団体法」「家族法・相続法」「法学教育・法曹養成・法律家」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1992)
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[Publications] 和田 卓朗: "「紀律化と刑法」「租税」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1992)
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[Publications] Shiro ISHII: "Zur KriegerーTerminologie des mittelalterlichen JapansーSamurai,Kenin,Kerai und Bushiー" 北大法学論集. 41巻5・6号. 645-660 (1991)
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[Publications] Shiro ISHII: "Crime and Punishment:Japanese Traditions." La Peine,Recueils de la Societe Jean Bodin. LVIII.
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[Publications] 和仁 陽: "「基本権」" 石部・村上編『ドイツ近代法史辞典』(東京大学出版会). (1992)
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[Publications] 石部 雅亮・村上 淳一: ドイツ近代法史辞典,