1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01301092
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木本 忠昭 東京工業大学, 工学部, 教授 (20052855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 聰 茨城大学, 教養部, 教授 (70106730)
山崎 正勝 東京工業大学, 工学部, 教授 (20106959)
日野川 静枝 拓殖大学, 商学部, 助教授 (90134832)
慈道 裕治 立命館大学, 経営学部, 教授 (80066703)
加藤 邦興 大阪市立大学, 商学部, 教授 (00016495)
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Keywords | 技術史 / 工学史 / 日本技術史 |
Research Abstract |
(1)本年は、まず電子技術情報技術の戦後発展史を分析し、まとめ公表した。この中では、とくに日本の生産技術および機械技術の発達との関連を重視して分析したが、労働形態を変化させつつあることを明らかにできた。同時に、情報技術の現代的進歩は、いわゆる情報化社会論で描かれるような情報の公開や情報万能論とはちがい,むしろ情報の格差を強めつつあることも指摘した。これは、特に国際的な情報関係でみれば、情報の南北格差の問題として現われており、この格差は経済的政治的力関係によって一方向に強力に展開(平定)されつつあることを明らかにした。また生産過程では、制御技術の進歩を著るしく進め、一示においては、明治以来の日本技術の構造的欠陥ともいわれてきた機械工業とくに工作機械技術の押し上げに貢献している。又、他方では、労働形態を変化させ,機械装置体子を一層巨大なものにし,労働と技術の関係を大幅に変化させつつあることも明らかにしえた。 (2)全体的な戦後日本の技術発達のみちすじを明らかにする方法の解明もおこなった。この点では、従来の戦後技術史論を越える方法論を提示しえたものと考えている。 (3)またこれに関連して、戦後日本の科学技術政策についても分析が進み,日本の特殊性が対米関係において形成されてきたことを解明しえた。 (4)次に、技術の発展過程の全体に関わる問題の一つとしての公害関係の研究についても、公害の代表的存在であり,戦後化学工業史上,重要な役割を担ってきた新日本窒素(チッソ)と水俣病の関係を総括的に分析しなおし,詳細な年表を作成した。この点では、現在の研究の最高水準の段階のものを提示することができた。 (5)化学工業と技術史関係についてもとくに戦前と戦後発展の関連を解明した。(6)以上の点は、「成果」として刊行する。
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[Publications] 奥山 修平: "技術開発をめぐる情勢の特徴" 『日本の科学者』Vol.26ー3. 4-9 (1991)
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[Publications] 山崎 俊雄編(木本 忠昭): "技術の社会史(『技術革新と現代社会』)" 有斐閣, 272 (1990)