1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01301099
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
武藤 三千夫 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (50015301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利光 功 玉川大学, 文学部, 教授 (00074310)
鹿島 享 国立音楽大学, 教授 (90050781)
稲次 敏郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (70015220)
角倉 一朗 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (80015263)
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Keywords | 芸術 / 都市 / 環境 / 美学 / 比較芸術学 / エコロジ- |
Research Abstract |
本研究の主旨は、「芸術と都市」という主題の下で、今日急速に変貌を遂げつつある世界の都市の現実、とりわけ種々の問題を抱える我国の都市のそれと(例えばその再開発と環境問題)、近年つとに論議されつつある都市論とをふまえつつ、各都市における伝統的な諸芸術の保存と展示の在り方(美術館等公共施設における)、現代における美術・音楽・演劇その他の美的文化の都市環境との関わり方、さらにまた各都市におけるそれらの公衆による受容の現在を、それぞれ実態調査し、美学・比較芸術学・エコロジ-的視点からそのあるべき姿を明らかにすることにある。そして今年度は、その研究領域の広がりの概観を把握すべく、次のような実地調査をおこなった。すなわち、各研究分担者と研究補助者による基本的文献および諸芸術作品の所在の確認と実地調査(閲覧と観察)-調査対象都市および地域は、鹿児島、長崎、熊本、博多、宇部、金沢、大阪、京都、八王子、いわき、仙台、盛岡。これらの結果から次のような問題点が明らかとなった。(I)我国では都市再開発と造成が全国一円においてほぼ一様に行われ、都市としての独自の雰囲気が善かれ悪しかれ急激に変化しつつあるが、それら変化がかならずしも美的・エコロジ-的視点から見ると、充分な検討がなされたものではない。(II)以上のことと関連して、ト-タルな新しい美的環境形成論が真剣に議論される必要がある。その場合、国際性と民族性という問題視点からのアプロ-チも重要である。(III)従来、都市は「都市の風景画」として、洋の東西を問わず伝統的に芸術的記録としても残されてきたが、現代の変化を蒙った諸都市は、「都市における歴史的・記念碑的建造物」として、換言すれば描かれる対象あるいは映像化されうる対象として、どの程度の価値があるか。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 武藤三千夫: "美的質における「開かれ」-その予備的考察-" 昭和63年度科学研究費総合研究(A)研究成果報告書 研究課題番号62301095. 1-10 (1990)
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[Publications] 鹿島享: "文化形成体と美的品質-楽器を画題とする絵についての一考察-" 昭和63年度科学研究費総合研究(A)研究成果報告書 研究課題番号62301095. 41-52 (1990)
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[Publications] 稲次敏郎: "都市景観における美的品質の評価要因" 昭和63年度科学研究費総合研究(A)研究成果報告書 研究課題番号62301095. 11-33 (1990)
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[Publications] 角倉一朗: "音楽学と音楽理論" 美学155号. 39(3). 52 (1988)
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[Publications] 河野石根: "美術における空間の問題" 美学159号. 40(3). 69 (1989)
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[Publications] 利光功: "バウハウス-歴史と理念-(増補新装版)" 美術出版社, 235 (1988)
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[Publications] 武藤三千夫: "翻訳「体験・作品・価値(仮題)」R・インガルデン" 勁草書房,