1989 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応の動力学理論の総合化とその応用に向けての学際的研究
Project/Area Number |
01303001
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 重樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (20113425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 興亜 京都大学, 理学部, 教授 (30029483)
大峰 巌 分子科学研究所, 助教授 (60146719)
塚田 捷 東京大学, 理学部, 助教授 (90011650)
中村 宏樹 分子科学研究所, 教授 (10010935)
|
Keywords | 化学反応動力学 / 反応理論 / 気相素反応 / 電子励起状態の緩和 / 反応系の集団運動 |
Research Abstract |
本研究は化学反応の動力学理論の新しい展開をめざして,各分担者が(1)気相系反応過程,(2)電子励起状態の緩和と反応動力学,(3)反応系の集団運動の動力学の3つの課題に属し,各課題についての研究を進めながら,課題間にまたがる問題を発堀することを目的としている。本年度は本研究の初年度であるため,各課題での研究を中心とし,1月21日から1月23日までの3日間で全体会議(研究会)を開き,各課題での研究の現状についての討論をおこなった。研究課題(1)では,反応過程の量子力学的記述の重要性が強調され,変分法を用いた反応断面積の評価方法の開発が進行していることが報告された。また,課題(2)ではレ-ザ-場における化学反応の研究及びMCQDT法による励起状態の記述法についての研究の進展が報告された。更に,課題(3)では,水の集団運動と化学反応における役割り及び表面現象を調べる上で重要なSTMの機構についての興味深い結果が報告された。全体会議ではまた研究班以外の研究者にも参加をねがい,化学反応理論の中心的課題である分子の動力学の統計性について量子カオスの観点から研究報告,討論をおこなった。特に反応動力学理論の有力な方法である半古典理論を発展させる上で量子カオスの問題が重要な役割りを果し,この研究を進めることの重要性が強調された。本研究では当該の実験研究者との共同を一つの目標としているが,今年度は,全体会議の際,並列しておこなわれていた実験研究者を中心とする総合研究班(液相化学反応への分子レベルからの新しいアプロ-チ代表者梶本興亜)と一部のセッションを重複させ,化学反応についての理論,実験の両側面からの課題について討論をおこなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 加藤重樹: "A theoretical study on the mechanism of charge transfer state formation of 4-(N.N-dimetylamino)bensinitfile in an aqueous solution" J.ChemPhys.(1990)
-
[Publications] 田中秀樹: "Potential energy surfaces for water dynamics reaction coordinates transition states and normal mode analyses" J.Chem.Phys.91. 6318-6327 (1989)
-
[Publications] S.G.Pare: "Quantum mechanical study of the light atom transfer reaction,D(3p)+XCl→Cl(X=H.D)" J.Chem.Phys.印刷中. (1990)
-
[Publications] 本間健二: "Crossed beam study of the reaction of vander Waals molecules:H+(ND)_2→HND^* +NO" J.Chem.Phys.92. 1657-1660 (1990)
-
[Publications] Z.W.Gortel: "Ion-newtralization in stimulated desorption" Dhys.Rev.B39. 11259-11271 (1989)
-
[Publications] 山下晃一: "A theoretical study of transition state spectroscopy" J.Chem.Phys. 91. 7477-7489 (1989)