1990 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的に統御された実験動物としてのメダカ属の純化・開発と応用
Project/Area Number |
01304054
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋 昭紘 東京大学, 理学部, 教授 (60011590)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇和 紘 信州大学, 理学部, 教授 (20020662)
岩松 鷹司 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90023994)
山上 健次郎 上智大学, 理工学部, 教授 (50011474)
|
Keywords | メダカ / 実験動物 / 形態学的特性 / 生化学的特性 / 染色体 / 突然変異 / 近交系 / DNA多型 |
Research Abstract |
今年度は、本総合研究の2年目かつ最終年度なので、研究をできるだけまとめることを念頭に置いた。1.筋肉および卵タンパク質とくに種間雑種卵の発生過程に消長するタンパク質の二次元電気泳動分析により、メダカの種の識別が可能であることがわかった。2.メダカふ化酵素がHCE、LCEの両プロテア-ゼから成る酵素系であることがわかり、それぞれの成分酵素を精製し特徴付けた。3.メダカ筋肉乳酸脱水素酵素のA,B両サブユニットを精製し特徴づけた。4.メダカ雑種不稔に関わるいくつかの機構について可能性が示唆された。5.トリプシンギムザ法とBrdU複製バンド法により、ジャワメダカの染色体に連続バンドを発現させることができた。6.CバンドとNORバンドは、簡単かつ確実に発現させることができ、NORバンドはハイナンメダカと、タイメダカの核型分析にも有効であった。7.ニホンメダカは4つの主要集団から成り立っており、根井の遺伝的距離にして0.3〜0.5という種内変異としてはかなり大きな値を持つことを確認した。また4主要集団の分岐年代は、かなり古い時期にまで遡ると推定した。特に南日本集団は変異に富む集団であるが、これは日本列島の地形の複雑さに起因すると考えられた。8.新しいメダカ近交系(dーrr、Da、韓国)の育成を開始した。9.8種類の酵素(Adh、Acp、Idh、Pgm、Odh、Sod、Amy、Ldh)の多型を指標として、近交系メダカの遺伝的モニタリングが可能になった。10.γ線またはENUによる生殖細胞突然変異誘発実験から、特定座位法を用いてb__ー遺伝子座に関する6つの新しい突然変異を分離した。これらの誘発突然変異体では、体表、眼球ともにメラニン沈着が既知の最も軽微なもの(b__ー、b^P__ー)よりもさらに減少していた。11.キンギョ白血球を用いて、MLR実験系を開発した。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Shima,Akihiro: "Development of a possible nonmammalian test system for radiationーinduced germーcell mutagenesis using a fish,the Japanese Medaka (<Oryzias>___ー <latipes>___ー)." Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.88. (1991)
-
[Publications] Iwamatsu,Takashi: "Exocytosis of cortical alveoli and its initiation time in Medaka eggs induced by microinjection of various agents." Develop.Growth & Differ.31. 39-44 (1989)
-
[Publications] Murakami,M.: "Yolk phosphoprotein metabolism during early development of the fish,<Oryzias>___ー <latipes>___ー." Develop.Growth & Differ.32. 619-627 (1990)
-
[Publications] Uwa,Hiroshi: "Cytosystematic study of the Hainan medaka,<Oryzias>___ー <curvinotus>___ー,from Hong Kong (Teleostei: Oryziidae)." Ichthyol.Explor.Freshwaters,. 2. (1991)
-
[Publications] Sasaki,T.: "Purification and partial characterization of the muscle LDHーA_4 and ーB_4 isozymes and the respective subunits of the fish,<Oryzias>___ー <latipes>___ー." Comp.Biochem.Physiol.93B. 11-22 (1989)
-
[Publications] 田口 泰子: "メダカの系統保存について" 海洋. 22. 142-148 (1990)
-
[Publications] 濱口 哲: "メダカの生物学(江上 信雄・山上 健次郎・嶋 昭紘編集)" 東京大学出版会, 315 (1990)
-
[Publications] 酒泉 満: "メダカの生物学(江上 信雄・山上 健次郎・嶋 昭紘編集)" 東京大学出版会, 315 (1990)