1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01304062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
紀伊國 献三 筑波大学, 社会医学系, 教授 (10114068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 裕 大阪大学, 医学部, 助教授 (20127252)
佐々木 順子 筑波大学, 社会医学系, 講師 (60134243)
平井 慶徳 順天堂大学, 医学部, 助教授 (50053038)
大道 久 日本大学, 医学部, 教授 (60158805)
開原 成允 東京大学, 医学部附属病院・中央医療情報部, 教授 (30010234)
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Keywords | 大学病院医療 / 入院医療費 / 純医療費 / 医療費構造 / 医療の質の評価 / 医療費区分 / 正規分布分離プログラム / 医療の基本的構造 |
Research Abstract |
本研究を分担する全国9大学病院から、大学病院の入院診療を代表する主病名(1)肺癌755例、(2)白血病426例(3)心筋梗塞491例の計1672例の入院患者レセプトを対象として、病院医療構造抽出モデルにより入院診療を分析した。1入院あたり総医療費の平均は、白血病が最も高く、次いで肺癌であり、心筋梗塞は3疾患中最も低額であった。一方、1日あたり医療費でみると、心筋梗塞が最も高額であり、肺癌が最も低額であった。大学病院の医療費では、とかく1日あたり医療費の高いことが指摘される。本研究では、1日あたり純医療費(入院料を除く、投薬料、注射料、処置料、手術料、検査料、画像診断料の合計)に注目し疾患別に分布を解析した。各疾患ともに分布には複数のピ-クが存在することが予測されたため、今回は大きく2つの正規分布の合成であるとの作業仮説を設定し、我々の開発した正規分布分離プログラムにより2つの標本集団を分離し、その特性を解析した。3疾患ごとに分布I・IIを分離し、その平均値、標準偏差を求めた結果、分布Iでは各疾患群間に平均値の差はなく、標準偏差は心筋梗塞群が有意に大きいが、肺癌、白血病間には差がなかった。以上より、分布Iは大学病院の入院医療に共通して存在する基本的構造と考察した。分布IIは、疾患群ごとに異なった平均値、標準偏差を有しており、診断・治療内容の差を反映すると推察した。さらに、医療費区分別に分析した結果、各疾患群に共通して分布Iでは検査料、分布IIでは手術・処置料が大きな割合を占めた。以上の結果を検証するために、全症例を対象とした解析を、因子分析法で行なった。第1因子のカバ-率は32.6%、第3因子までで70%であった。各成分の因子負荷量をみると、第1成分は検査・画像診断料を説明し、第2成分は投薬・手術料を説明すると考えられ、先の分布による検討と一致し、大学病院医療における入院医療費の2重構造が明確になった。
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